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●地域表現とアニメ
(2002/02/17)
(2005/06/07加筆)
考えてみると、日本の特定の地域が表現されているアニメというのは、それほど多くないんですね。サザエさんもオープニングアニメーションでは各地域の観光地などをやっていますが、サザエさん自体は東京都とおぼしき場所ですからね。
東京都に限ってみると「超GALS寿蘭」「こちら葛飾区亀有公園前派出所」「逮捕しちゃうぞ」「Rahxephoon」「X」「ドラえもん」「クレヨンしんちゃん」「犬夜叉」「デ・ジ・キャラット」「機動天使エンジェリックレイヤー」「カードキャプターさくら」「げんしけん」「まほらば」「ハチミツとクローバー」なんてところでしょうか。
まあ、東京は地方の人でもランドマークとなる東京タワーなどの建物の風景が多いですし、制作会社も多いですからね。
次に多そうなのは、神奈川県。「コメットさん」「ラブひな」「彼氏彼女の事情」「NOIR」なんていうところで部分的でも登場していた感じ。山や川・海と行った都市周辺という表現でも、比較的多い。逆に内陸の埼玉県は「破壊魔定光」くらいでなかなか登場しない。千葉は「浦安鉄筋家族」のように明確なものを除くとなかなかでてこない感じ。東京から逃走すると、よく群馬県あたりの関越道で捕まるというシチュエーションくらいしか、群馬は登場しない。ずいぶん前に「こどものおもちゃ」で草津がでたくらいかな。
牧場と牛あたりをだすか、時計台でも登場させると北海道って表現できるような気がしますが…時折登場するくらいで舞台となると「フィギュア17つばさ&ヒカル」しかないかもしれない。そういえば、「機動警察パトレイバー」での苫小牧の表現は、むちゃくちゃだったなぁ。
山の中となると、長野県あたりは結構表現しやすそうで、たぶん「Kanon」は長野の地方都市とおぼしき場所が舞台っぽい。(実は違ったりして)
F県F市と称してへっぽこ実験アニメをやっていた「エクセルサーガ」は、福岡が舞台とおぼしき、数少ないアニメかも。観光地めぐり的に長崎とか鹿児島がでてくる程度で、なかなか九州はでて来にくい。まあ、山陰・四国のようにほとんど登場しないよりはマシかも。
岡山県は確か「天地無用」が舞台にしていたんじゃないかな。ただ、ある時期から岡山らしくない場所で展開されていた気がするけど…。
中京・北陸・東北・山陽も、どうしても観光地的な表現しかないのかな。
大阪って結構ランドマーク的なものがばらついていて「じゃりン子チエ」くらいしかなかなかできていない感じ。逆に神戸あたりが表現しやすいかも。「地球少女アルジュナ」という例もあるし。京都も生活している場所と観光地が近いこともあって表現しやすいらしい。たしか「七人のナナ」の舞台は京都だったはず。
近畿圏という意味だと「AIR」は実際にロケハンをしていて、色濃くでている風景が和歌山県とか京都府が多いような気がする。ただ、複数の地域を組み合わせているという部分で地域という意味ではうすい感じがする。
「ギャラリーフェイク」は、ギャラリーのある場所もそこそこ東京湾沿いということでもっともらしく描けているし、比較的日本のいろんな地域を適切に表現しているなぁ…たまにどこだか分からないところもあるが。
こう見てみると、ロケハンなど舞台を確認しやすいのと、比較的一般的に持っている地域のイメージというのが明確な場所だと、ある種のお約束みたいな形で表現しやすいし、舞台としてアニメの表現がしやすそうです。
それと、どこの地域か分からないけど日本とおぼしき場所とか、全くの異世界というアニメというのが結構多いというのも、日本のアニメの特徴なのかなぁ…とも感じたのでありました。
そして、日本にいる人にとってはその違いを語ってしまえるんでしょうが、他の国なり地域にいる人にとっては、やはり異世界ということで、そんなに意識することなく見ているように思えるのでした。
はじめ人間ギャートルズで登場する「マンモスの肉」。あれって、映像的に丁寧に描けるとかいったところと無縁に「食べてみたい」と思った人、多いんじゃないかな。逆に、正確に緻密に描けている美味しんぼで出てくる料理って台詞でいろいろ語ってくれても、あんまり食べてみたいなぁ…とは思わないんじゃないですか。
ルパン三世 カリオストロの城を例に出してみると、ちょっとしか出てこないレセプションで克明にセルで描かれたごちそうってそれほどごちそうって感じがしなくて、そのあとに銭形警部がすすっているカップヌードルが妙においしそうに感じるんですね。食っている場面まで表現しているものって、シチュエーションもあわせて共感してうまそうに見えるってことがどうもあるようです。
明らかに赤いきつねとおぼしきカップ麺を食べるルパンの場面では、油揚げをつまみ上げてハフハフとやりつつ食べる場面なんか、妙に赤いきつねが食べたくなってしまいますからねぇ…そのすぐ後の場面で、伯爵の豪華な朝食との対照的であることも、余計印象的に残ります。
ただ、その伯爵の朝食も優雅にゆで卵の殻を落として食べる場面は、食材が手に入りそうということもあって、やってみたいなと思わせますね。でもおいしいと思うよりも格好付けの方が近いでしょうか。
ルパンと次元が民芸酒蔵風のレストランで山盛りのスパゲッティ肉団子を取り合いしている光景って、ボリュームだけでそれほど食材を描き込んでいないんだけど、取り合いと台詞のかけあいで食べたいと思わせる魅力が、これまたあるんですね。
スタジオジブリのアニメでは、野菜料理はどうもおいしそうに見えないんですね。なぜかっていうと風景としての植物を緻密に描くという属性が強く、野菜料理が登場すると、加工された料理というより植物そのものって感じがしてしまうんですね。対照的に魚・肉料理、特に肉料理のうまそうな感じって、妙に印象に残るんですね。天空の城ラピュタでドーラ一家がパズーの家でがつがつと食っている場面などの一連の料理や食いっぷりは、実写映像として考えると相当のウソが存在しているのですが、一気にがっついて食べているという演出表現と照りがあって実物以上に厚みがあって食い応えのありそうな料理は、やはり食欲をそそりますね。
がっついて食うという表現といえば、スレイヤーズはとにかくそういった場面が多かったですね。テーブルのうえによく分からない食材の料理なんだけど料理がたくさん載っかっていて、それをリナとガウリイやナーガががっついて食っているのは、おいしそうに感じるんですね。料理自体はよく分からない食材ですから、煮物・焼き物・揚げ物・鍋物といったことが分かる記号に近いものなのですが、不思議なことにうまそうに見えるんですね。まあ、リナが食べ終わったあと満足した顔が出てくれば、おいしそうに感じるんだろうなぁ。
こんな風に見てみると結構おもしろそうなので、もう少し探して書いてみたいと思います。
この年齢になってもあいかわらずアニメ誌を買い続けているのですが、資料性を求めているためどうもアニメージュ(徳間書店)を買い続けています。たまに、実は部数的には上で一般的な情報ソースのニュータイプ(角川書店)を購入します。ニュータイプは基本が見開き2ページで完結するため、ビジュアル的に楽しむ現在のトレンドにあっているのですが、どうも私は…
それはともかく、ニュータイプは普段より高くて650円になっています。買いづらいピンクが基調のCLAMP原作(講談社
ヤングマガジン連載)のちょびっツが表紙ですので思わずひいてしまいましたが、価格の理由を確認するため購入しました。
DVDが付録としてついたのがその理由ということでした。(とりあえず、アニメ誌初です)
アニメージュは、確か別の表紙絵(CX月16:25他 放送中 ラーゼフォン)になるはずだったのですが、3月号の表紙は「千と千尋の神隠し」。青を基調としたもので、こちらは購入しやすい。ベルリン国際映画祭 金熊賞受賞による宮崎駿監督の記者会見全発言に伴う差し替えでした。
で、当初予定したラーゼフォンの表紙は…しっかりとダブル表紙ということで一枚めくるとありました。予想していたとはいえやはりピンクが基調か…さくらのシーズンになることだからって2誌ともピンクだったら厳しいからねぇ…購入する側とすれば(絵的にも、同僚に「エロ本買うより恥ずかしい」と言わしめるだろうなぁ…)
最近のアニメでは、あまり食卓を囲んで食べるシーンというのはなかなか少ないですね。どちらかというと外でファーストフードをほおばるかPET飲料を飲むシーンが多く、食べ物自体を詳細に描くことは少ないようです。クレープも中身が包まれているので、それほどおいしいと思いにくいですね。
例外としては、パフェとケーキでしょうか。パフェについては、比較的きれいに描けているようでして、結構おいしそうですね。ただし、印象に残るパフェといわれるとちょっとうかびません。
ケーキはパッと登場しておいしそうに感じるものと、ケーキという記号のようなものに感じられるものがあり、どうしても後者が多くなってしまいます。ケーキで印象的なものか…最近だとギャラクシーエンジェルでミルフィーユ(主人公の名前,キャラクターの名前の多くをお菓子からとっているのがこの作品)が作っているケーキは、ディティールも比較的丁寧に描けていてかつおいしそうに描けているなぁ。
同じ制作スタッフが手がけたカードキャプターさくらに出てくるケーキなどのお菓子は、比較的おいしそうに描けていた記憶があります。特に、イチゴのタルト(24話 さくらの小さな大冒険)は、本当に食べてみたいなぁ…と思わせるものでした。(そういえば、最近コンビニでイチゴのタルト買って食べました)
お菓子作りは、少女向けアニメでは比較的多いですし、確か前回のおジャ魔女どれみ(もーっと の方)でもお菓子作りが一つのテーマのようになっていましたからね。ただ、お菓子作りそのものがメインの表現主体になってしまって、あんまり作られたお菓子は登場するのも一瞬で、おいしそうなお菓子の絵はあまり感じられないものが多いですね。やはり、あらかじめ作ってきたり買ってきたりしたお菓子が、そのものを表現できておいしいのかもしれません。
それと、少年もののアニメに多いのですが、お菓子をほおばって一気に食べて口の周りにクリームなどをつけてしまう表現って多いですね。あれって私としてはおいしそうな表現として納得するんですが、持ってきた女の子の表情があまりよろしくないですね。たいがいは。まあ、それも表現上のねらいではあるんです。
比較的おいしそうなお菓子の絵をアニメで見たあと、エンディングに登場する原画や美術の方を眺めると、お菓子に結構こだわった絵を描く方がでていることに気づかされることってあるようです。そこまでチェックすることは私は不得手ですが、詳しそうな方に聞くとこれだけでおいしそうな話で盛り上がれそうです。
○追加コメント(2005/6/7)
「カウボーイビバップ」とか「サムライチャンプルー」は、食べる場面が結構多く、でてくる食べ物ごちゃっと描かれているのですが、シズル音とともにほおばって食っているということでうまそうに見えるんだなぁ…これが。
「サザエさん」で出てくる食事シーンは、そんなに美味しそうなものが出ている感じがしないが、「あたしンち」とか「クレヨンしんちゃん」などが一瞬でも美味しそうに見える食べ物を感じられるのは、映像的なものよりもストーリーや演出で見せる部分で感じるのかもしれません。
緻密に描かれていて、かつ美味しそうに見えたものとしては「彼氏彼女の事情」「まほろまてぃっく」「フルーツバスケット」の食卓の場面。映像としてのこだわりといっていいものが感じられるし、食べてみたいと思わせるくらい美味しそうに「食べている」ことが感じられる場面として描かれていましたからね。
まず、時間枠移動での興味として「クレヨンしんちゃん」の金→土への移動があげられるでしょう。(CX
ラーゼフォンの月曜夕方→火曜深夜への移動はやっぱり…って感じですが)「あたしンち」を金19:30に置くためかつて30分枠(アニメ枠)を縮小したのはなんだったんだろう…という形での変更になります。
まあ、ANBも土・日のプライムタイムは苦戦が強いられているようですから、アニメだよりになってしまうのも分かりますが。
TXは、予告通り土曜朝がアニメ枠になってしまいました。7:30-10:00を2→5本のアニメが埋め尽くす形になります。ビジネス番組を追い出してしまいましたが、あんまり困らないところがTXらしい。どんなクライアントがつくのかも興味があります。
対照的に、TBSは土曜朝1枠減になります。本当はアニメをやりたいのに…それでいいのだろうかなぁ。(ああっ女神さまっを制作に加わりながらTBSでは放送できなかったり、深夜に子供向けとしての良質と思われるアニメ(ちっちゃな雪使いシュガー)を放送したり…何やっているんだか)まあ、報道が強い局だからね。
NTVも深夜枠1減ですが、それほど変わるという印象がないなぁ。(そりゃ、「はじめの一歩」が終わるのは惜しいですが)
WOWOWノンスクランブルは、現在放送中のフルメタルパニックしかなくなるため2減となります。CSオリジナルが増えてきていることも影響しているのでしょうか。
まあ、どう転ぶかが楽しみな春のアニメ改編と言うところでしょう。
こんなところで見るとは…というアニメ作品の映像を、TV番組をいろいろ見ているとぶち当たるものです。
たとえばまだ高校生だった頃、NHK総合の「視点」という解説委員によるニュース解説番組がありまして、フランスの国営放送の民営化による話をやっていたのです。そこで、不足した番組を埋めるためにこんな番組を放送している…ということで登場した番組が「めぞん一刻」「ドラゴンボール」「北斗の拳」…まさかNHKでこれら番組を見るとは思いませんでしたね。
最近、放送大学学園(スカパー!で全国放送。関東圏では地上波(UHF,FM)による放送)で、被服に関する講座を見ていたら、1990年代以降少女たちがスリムな体型を望むようになって来ているということで「セーラームーン」が登場するとは思わなかったなぁ。
ついでに、NTV月-金夕方のニュースプラス1で、ドイツで日本のマンガを見る若者が増えているということで、その手のショップなどの映像が出てきていました。(NNN24(CSやBS日テレで放送)でもリピートで流していたな)ヨーロッパでも北の方はあまり日本のマンガやアニメは受け入れられていないと思っていたのですが、どうも「セーラームーン」「ちびまる子ちゃん」「ポケモン」が露払いをしていったようです。
だめ押しで、本日(4/4)発売の日経エンタテインメント!5月号には、この雑誌としては珍しくアニメの特集記事が8ページにわたって載っています。
見ようと思ってみるならいいのですが、意外なところで登場すると、やはり好んでみているものでも「ちょっと待て」と言いたくなるものだったりします。
自分が所有しているTVは幸いなことにワイド画面ですので、ほとんどの番組の画面をゆがむことなく映し出すことができます。画面の縦を一定にした場合、横の長さは通常の4:3とよばれる画面と比較するとワイド画面は約1.22倍になります。
逆にワイド画面を標準画面で映そうとすると、横を一定にして縦を0.82倍に圧縮しないとならないので、上下に画面を映さない部分が出てくることになります。最近NHKでは(ニュースなども含めてかつては結構あったのですが)あまり見かけなくなりました。しかし、民放などではこうした画面で番組を放送することが映画やアニメではあるようです。(深夜で放送されるアニメではかつて、ワイド画面が多かったんです)
ビデオやDVDとしてアニメを発売する場合は、たいがい最初に放送した画面サイズで収録するもののようです。ところが現在の通常画面の映像は、送出時に左右の部分を1割カットしたものが映っているんです。そうした画面をフルに見る術(すべ)がないと思いきや、BSデジタル放送でハイビジョン画質として送出した通常画面の映像に限って見ることができるんです。(BSジャパン(TX系)などの多くのBSデジタル放送でのアニメは、そういった形になります)
BSデジタル放送で放送されたアニメでも、当初からハイビジョン画質で送出されたものは、ワイド画面を前提としたアニメがその多くを占めます。(BS-i まほろまてぃっく など)ただし、通常画面の映像を単にワイド画面にしたものもありますので、一概にワイド画面がお得とは限りません。(NHK BS2,hi だぁ!だぁ!だぁ!やTBS,BS-i ちっちゃな雪使いシュガーなど)
地上波では通常画面で放送しているのですが、どうも画面的に違和感があるなぁ…と思ってBSデジタル放送で見たら、ワイド画面を意図した作品もないわけではないです。(TBS,BS-i ちょびっツ)また、唯一の例になるかもしれないのですが、通常画面より横の長さを1.13倍とワイド画面の幅よりもかなり狭い映像で作られたアニメというのも存在するんです。(NHK BS2,hi カードキャプターさくら。さくらカード編のオープニング映像がBS2などでは若干切れていることから推察しないと、たぶん気づかれないはず)
さて、通常見えない映像が見られるというお得感があるかどうかというと、もともと意図されていない部分の映像になりますから、通常画質の残り1割が見えてもほとんどないといってもいいでしょう。ワイド画面を前提とした作品では、確かに受ける印象が違ってくるようですから、4:3画面だと不満がやはり出ると思います。その反対に、4:3画面で上下をカットしてワイド画面にした場合は、もっと不満が出ると言っていいでしょうね。
まあ、パッケージ化の段階で適切な画面サイズが選択されることからも、TVでの無料放送ではそれなりに(意図的に)映像サイズを変えているのかもしれません。
映画では実は今でも画面サイズは統一されていないようです。画面サイズ自体に表現するための意図というものがあるため、ある程度まとまりつつありますが、統一には至らないんじゃないかな?
●実は映像なんてよく見ていないのかも
(2002/04/24)
TVアニメーションに限らず、私の場合案外画面というものを見入っているということがないんです。映像というものは、ある種の記号性を持っているものでして「○○というもの」ということさえ認識していれば、きちんと表現されていなくてもまあいいというもののような気がします。
アニメの場合は、ドラマと違って映像どころか音までほとんど造り出さなければなりませんから、音楽とか効果音(SE)なども記号化したようないわゆる場面ごとの「お約束」のような音で構成されていることが多いです。
こうなっていくと、キャラとかの設定が分かっていると、まあなんというのか音さえ聞いていればあんまり画面を注視しなくても、見た気になってしまうものなんですね。それに、音がなくて早送りで一気に見ても、何となくストーリーが分かってしまうこともあるので、ますます画面としっかりと注視しなくなってしまいますね。
こんな風にアニメの見方を振り返ってみると、惰性で見れば見るほど映像なんてよく見ていないものなのかもしれません。しかし、そんな風に見ていても「普段と違う」と見逃さないこともあるわけでして、私の場合は見ているような見ていないような…いまいちこの件についてははっきりした立場にはなっていないのかも。
●アニメ新番組ざっと見-1(2002.4)
(2002/04/28)
テーマを移動して、もう少し多めに書いてみようと思います。とりあえず、順不同でいきます。
○電光超特急ヒカリアン(TX日8:30)
過去にのりものスタジオ(TX水7:30)の1コーナーとして作られたものが番組化したものではなかったかと思います。新幹線などの車両の先頭部をキャラクター化して合体もできるようにした、玩具などの商品化まで念頭に置いたアニメ作品。きちんと悪役も登場していて、子供向けのツボはつかんでいるとは思います。しかし、その手の枠の範疇でおさまっていて、戦隊ものなどにあるようなストーリーの広がりはそれほどなさそう。
○デジモンフロンティア(CX日9:00)
デジモンシリーズの最新作ということになりますが、あまり設定などのコンセプトには変更はなかったようです。なんかメインキャラが持つ目的意識が(このシリーズ全般に)希薄という印象で、それを含めてターゲット層にあわせた作品ということのよう。映像的には、デジモンの進化などの変化が平板になってきていて、見せるという部分を捨てているような…
○十二国記(NHK BS2火18:00)
この枠の路線と大きく異なり、ある種の能力を持つ者が異世界での争いに巻き込まれていくという一種のファンタジー路線とのこと。映像的には影が多く多少はじく部分があるが、キャラクターの設定や異世界の魔物や奇異な能力を見せるという演出的な部分には、興味が持てる人も多いかも。
○天地無用GXP(NTV火24:55)
天地無用の新シリーズではあるが、設定などを含めてかなり異なっているとのこと。今のところは、設定はある程度しっかりしているが、真面目に行っている部分とギャグっぽくしている部分とが見事に上っ滑りしていて、まだかみ合っていない印象があります。
○爆闘宣言ダイガンダー(TX金18:00)
子供向けロボットものとしてのお約束はしっかり守っていて、かつロボット自体がお友達で戦いもきちんとした大会によって行われるということで、最近のこの手のアニメの類型にしっかりとはまっている。パターンにしっかりとははまっている一種のステレオタイプのような印象かな。
○フォルツァ!ひでまる(TX土9:00)
いろいろなしがらみがあってキャラを動物にしてサッカーの話をやろうとしているが、この手の試みであたったことがないからなぁ…。サッカーを見せようとしてはいるが、動かし方で見せないとスポーツものではその魅力は出しにくいため、どうしても人でないキャラではその動きが見る側にとって制限されてしまうよう。
○ロックマンエクゼ(TX月18:30)
いかにも大きな目的がある敵方の設定がいまいちぼけているようで、どちらかというとコミカルな方向に演出していこうとする感じなのでしょう。これまで述べてきた子供向けとしての標準的な内容はみたしているが、やはり同じようにその枠にとどまっているといったところでしょう。
●アニメ新番組ざっと見-2(2002.4)
(2002/04/28)
この辺のは、まだ判断保留という部分が多いです。とりあえずいろいろ書いてみます。
○わがまま☆フェアリー ミルモでポン!(TX土8:30)
絵的には(非現実である)妖精たちの比較的線の少ないかわいらしい感じと標準的な少女まんがのキャラが、それほど違和感なく同居していてうまく区分けされている感じ。ストーリーとしては、標準的な中学生くらいで表現しそうな恋愛話を魔法がかかわってくるといった話で、たぶん可もなく不可もなくといったところか。
○東京ミュウミュウ(TX土8:00)
マーチャンダイジングがしっかりしていて、クライアントがもうキャラ商品の宣伝しているんだもんなぁ…それはともかく、絵的にはどちらかというとアニメを見るちょっと年齢高めの層に向けたかわいらしさで、能力を持つ仲間を集めてある敵役と戦うというお約束が多そうな感じ。きちんと主人公の恋愛話をストーリーに加えていますから、この部分と主ストーリーがうまくつながるかが、ターゲット以外(もともとの掲載誌のファン)に展開するためには重要かも。
○満月(フルムーン)を探して(TX土7:30)
主人公の恋愛対象が近くにいないことや期間限定(死期が迫っている)である点、歌手デビューしていくという点など、かなり最近は当たりにくいといわれる要素がたくさんあります。しかし、原作自体が持つ主人公自体にターゲット層が感情移入しやすいという部分や、登場するキャラが基本的にいい人たちであるということで演出していることから、適度なバランスで演出していけばうまく引き込まれていくような気がするのですが。
○天使な小生意気(TX土24:50)
きれいな女の子(でも小さい頃は男の子だった)という設定の部分は、声優のセレクトの成否で決まると思ったのですが…その通りでしたね(らんま1/2の実績がある林原さん以外は難しそうだったからね)。今時はやりにくい不良少年を描く部分がメインなのである意味ハンデとは思いますが、高校生が持ちそうな(実はガキな部分が多い)恋愛に対するドタバタしたものが表現されれば、おもしろく転がるかも。
○あたしンち(ANB金19:30)
演出的には「間」が結構重要な位置を占めそうな感じだったので、うまく表現できるかと思ったのですが…そこそこうまくいっているようです。お母さんとみかんとのかみ合わない会話と日常でありそうなシチュエーションを淡々とおもしろがれる層が一定数いれば、結構評価されるんじゃないかな。読売新聞日曜版連載
ということもあり、結構原作自体にはまっている人も多いのかも。
●アニメ新番組ざっと見-3(2002.4)
(2002/04/28)
適当といいながら、結構ジャンルわけっぽい感じにざっと見た感想が仕上がっています。
○東京アンダーグラウンド(TX火18:30)
キャラの絵が掲載誌の色を強く受けていますし、アンダーグラウンドという異世界で繰り広げられる戦いを表現しつつ、ちゃんとコミカルな部分もお約束のように表現されていますから、もともとの狙い自体はうまくいっていると思います。ただ、あまりにも狙いすぎていてストーリーの先が読みやすすぎるように感じるのが、今後進んでいく上で気にかかるなぁ。
○ぴたテン(TX日9:30)
ファンタジックな作品に多くある設定の突拍子のない部分を、キャラの絵的な部分でうまく緩和していて、そういった意味の敷居はあまり高くないかも。基本的な舞台や日常が丁寧にストーリー・映像双方で描かれている点は、評価していいかも。ただ、あまりにストーリーとして強く引きつけるイベントのようなものがないため、ターゲット層以外への展開は難しいかも。
○藍より青し(CX水26:25)
掲載誌の関係もあり、描写としては深夜枠でないと難しいものはありますが、基本的にはおずおずとした恋愛を描いていく話であります。こういったものでは、キャスト(声優)の選択とキャラ設定など映像としての見せ方が重要になりますが、その点ではうまくいっているようです。今のところは設定を順次説明しつつストーリーを展開していますが、主ストーリーでの起伏となる話がうまく作り込まれるかが気にかかります。
○あずまんが大王(TX月25:25)
コマまんがが持つ一定の話の裁ち切りをアニメのような連続した時間で表現するのは、もともと難しいもののようです。また、ギャグを中心に表現する作品は、軌道に乗るまで時間がかかるという特性を持っているようです。何となく、スタッフとしての表現方法が確立していっているようなので、今後おもしろがれるんじゃないかという期待はもてます。(逆に言うと、この前に公開された映画はかなり原作ファンとしては不満が多かったように推測されます。「となりの山田君」のように)
○.hack//SIGN(TX水25:55)
ゲーム企画など複層的に展開されている作品とのこと。ゲーム世界の中での奇妙なありようをしているプレーヤーとそれを追っていく人々を描いて、ある謎を解いていくような話のようです。キャラが絵的に取っつきにくい人もいるゲーム世界のキャラであることやBGMなどの音が台詞と同格の位置にある点が気にかかるかもしれません。謎解きの部分がある種企業などのマネージメント活動の隠喩(いんゆ)みたいになっていて、外形から来る世界観にさえ入り込めればそれなりに楽しめるかも。
○ちょびっツ(TBS火26:25 BS-i水24:00)
本州の人が考える北海道的な絵からスタートしましたが、メインの話は東京・中央線沿線らしいです。映像としてきれいにキャラが描けている点や原作の持つストーリーにアニメとしての設定をうまく追加して話を転がしている点は、評価してもいいのでしょう。人型をしたいわゆるアンドロイドのようなものを「パソコン」と称するかなり大きなウソをうまく納得させている点、キャラの成長や隠されている設定をうまく見せつつ表現されているように、今のところ見えますね。「エロサイト」「オカズ」ってしっかり台詞で言わせているのが何とも…
●実は局内で当初は注目されていなかった番組
(2002/05/04)
2001年8月号のアニメージュ LETTER ROOMの投稿文で、(カードキャプターさくらを放映する前の段階で)NHK上層部がCLAMP作品をとれと言ったような話が書いてありましたが、私が知る限りではそのようなことはなかったというのことのようです。
まず、そのような強力な上層部のプッシュがあったとしたなら、衛星放送局でなく地上波(現在アニメ枠がある教育テレビ)で放送するのがNHKの定石です。あずきちゃんが、好評で海外での契約も多かったとはいえ、まだ漫画を原作にしたアニメには懐疑的という時期でした。(翌年にようやく「コレクター・ユイ」が教育テレビに編成されたことからも、それがうかがえます)また、衛星の番組紹介番組でカードキャプターさくらはそれほど目立った取り上げられ方をしておりません。(うってかわって翌年の衛星の番組紹介番組では、カードキャプターさくらのアフレコ現場の撮影はあるわ…と、とんでもない変わりようでした)
局内全体としての注目度がないのには理由があって、ほぼ同時期に「おじゃる丸」「だんご三兄弟」と子供向けコンテンツで特筆すべき内容が多かったんですね。NHKの個人視聴率調査(1998年6月)でも、「プリンセス・ナイン」より低い結果ですし。このため、NHK年鑑でも「カードキャプターさくら」は衛星アニメ劇場の一作品として埋没し、翌年の教育での放送でようやく作品紹介される状態でした。
しかし、放送後から注目度が上がったのは事実のようで、番宣用ポスターはすぐになくなり、番組用ノベルティーとして作成したテレカは局内への有償頒布ができなくなり、衛星アニメ劇場へのカードキャプターさくらの投稿はかなり記録的な量だったとのこと。また、海外の番組見本市MIPで海外放送機関からカードキャプターさくらが高い関心が寄せられたということが伝えられておりますから、嫌でも注目せざるを得ない番組になったとのこと。
そうそう。カードキャプターさくらは、もともと1年(民放での約3クール分の話数)の予定だったのですが、夏頃には翌年の放送が決まったのではないでしょうか。ストーリーもこのあたりから1年で収める内容でなくなってきましたし、秋口にはバンダイビジュアルの広告にもシリーズ延長の旨の書き込みがでていましたからね。
作品にはまった視聴者が、自分の周囲での状況から受ける印象と、そういった熱から離れた人たちが見る印象は案外違っているようです。両方を見ながら語るというのは、なかなか難しいもののようです。