作曲家別アニメサントラ紹介-06

<最初に>
 今回取り上げたものは、比較的古いものがその多くを占めますが、
この手のスタンダードなサントラというのが、やはりわたしは好きですね。
 ただ、今回のものは、結構これまたよく聞き慣れているため、
サントラという印象はないかもしれません。
 

第30回 松岡直也さん
(初出:99/08/25)

 昨日、ふと頭の中に浮かんだサントラを紹介しておきましょう。

 今回は、松岡直也さん。

 NTV系列で深夜に「タバコ一本のストーリー」ということで
わたせせいぞう原作の「ハートカクテル」を映像化した5分番組が
ありました。(提供は日本たばこ産業だったはず)

 映像的には今でも風変わりなものがありましたが、音楽的には
かなりインパクトのある曲たちが登場しました。

 この作品のサントラVol.1とVol.2を担当したのが、松岡直也さん。
 フュージョン系の曲をご存じの方なら、たぶん分かると思います。
 でも、彼のアルバムの中で一番TV番組での使用率が高いのは、
たぶんこのハートカクテルだったんじゃないでしょうか。

 ハートカクテル Vol.2 /松岡直也 (32XL-200 ワーナーパイオニア)

 都道府県などの(5分ほどの)広報番組での使用割合が高いのは、
リチャードクレーダーマン、ポールモーリア、服部克久と、
このハートカクテル Vol.2なんじゃないかなぁ。
 たしか、今でも東京都のある広報番組の1コーナーでは、
Track2 兄のジッポ が使われているよ。

 ラジオCMでも、たとえばTrack11 虹色の風 やTrack9 今をフリージング
なんて使われているんじゃないかな。

 たぶん、聞き覚えのある曲がたくさんあると思いますよ。
 

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第31回 久石譲さん  (サントラのおまけ-01 第2回 第6回 も参照されたし)
(初出:99/09/03)

 そういえば、久石譲さんのアニメサントラを紹介し忘れておりました。
 書き始めないと、なかなか進まないと思いますので、今回から時折
紹介していきましょう。

 と、いうことで 今回は 久石譲さん。

 久石さんが宮崎駿氏のアニメーションの音楽をたくさん担当していますが、
その中でTVでのBGMとしての頻度が一番高いのは、多分
「魔女の宅急便」だと思います。

 そこで、今回紹介するのは魔女の宅急便のサウンドトラック。

 魔女の宅急便 イメージアルバム (TKCA-71030)
 魔女の宅急便 サントラ音楽集  (TKCA-71031)
           (いずれも 徳間ジャパンコミュニケーションズ)
 

 イメージアルバムを映画製作のかなり早い時期に作り、音楽的な部分を
ある程度確立するという手法は、風の谷のナウシカ以降かなりはっきりと
意識して作られるようになったようです。(風の谷のナウシカの
イメージアルバムだけで参加したはずの久石氏が、そのまんま
映画そのものの音楽担当になってしまった、という話は、ナウシカを
取り上げるときに、もう少し詳しく書きます)

 久石さんが映画公開あたりのインタビューに、魔女の宅急便の音楽は
結構はやりっているような曲を狙ったような感じで作ったようなことが
あったと記憶していますが、確かにこの映画以外にも使える曲たちが
たくさんありますね。

 最近の久石さんの曲は、ある程度決まったパターンのようなものが
感じられますが、この魔女の宅急便の場合は、それは感じられず、
むしろ彼が持つ音楽のバリエーションをかなりいろいろとみせてくれた
感じがします。多分、ポップな感じの曲が多いのは、このサントラや
イメージアルバムだけのような気がします。

 現在の久石さんらしい曲調といえば、サントラ音楽集のTrack16
神秘なる絵 (キキが飛べなくなって、ウルスラの家へいって
絵を見たときにかかっていた曲)くらいのものだったかなぁ。
 それくらい、これまでと違った印象を受けた感じがしました。

 そういえば、イメージアルバムのTrack4 元気になれそう は、
確かどこかの都市銀行のCMで使いませんでしたかねぇ。

 今でこそ、恥ずかしくなく購入できる魔女の宅急便のサントラですが、
購入当時はねぇ…。

追伸
 これを書くきっかけをくれたのは、今日(9/3)NHK総合のドキュメントにっぽん。
 不意に聞こえてきた曲に、人それぞれの思いが重なっていることを
感じて、書かずにはいられなくなったからでした。
 

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第32回 松浦晃久さん
(初出:99/09/19)

 過去に、らんま1/2の音楽を担当した森英治さんと川井憲次さんに
ついては紹介しております。(川井さんのらんまの曲については、別途
書き込むつもりです)
 らんま1/2というマンガは、とりあえず格闘というものが基本に
なっています。ですから、戦うような場面やその緊張感を演出するような
音楽がベースにあって、そのほかにもともと原作者が得意としている
恋愛ものとしての内容にあった曲がいくつか組み入れられる
と言ったものが、森さんと川井さんが作ったらんま1/2のサントラでした。

 ところが、TVシリーズの最後の方で音楽を担当した松浦さんは、
これまでの流れを完全に断ち切った、オリジナリティーの強い
音楽がでてきたんです。

 楽器の数も少なく、起伏のあまりない旋律。むしろ70年代の
凝らないサウンドトラックに近いものを感じました。
 ですから、格闘などの曲というより、心理描写の場面とかに
使われる曲がほとんどになっています。
 懐かしいフォーク調の曲(Track 5など)なんかもあって、ある意味で
新鮮な感じを受けました。
 そうはいっても、Track10みたいにドタバタするような曲もきちんと
存在していますよ。

 らんま1/2最強音楽編 PCCG-00175 ポニーキャニオン

 あまり使われないかなぁ、と思っていたら、さすがこれまでの
らんま1/2のサントラの使用頻度の高さから、このサントラも
結構使われていますね。

 ただし、打ち込み系の音楽にありがちな平板な曲が多く、
松浦さんらしさというものをあまり感じなかった感じも
受けました。
 

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第33回 野見祐二さん
(初出:99/09/25)

 野見祐二さんは、坂本龍一さんの目にとまり、ともに仕事をするようになり、
音楽の世界へ入ってきた方とのこと。
 坂本龍一さんのジャンルを問わないで音楽を作り出すという部分も
持ちつつ、どちらかというとゆったりとしたリズムで、少な目の音源で
メロディーラインを紡いでいくという感じのようです。

 今回紹介するサントラは、

 耳をすませば イメージアルバム TKCA-70597
 耳をすませば サウンドトラック TKCA-70648
          いずれも 徳間ジャパンコミュニケーションズ

 スタジオジブリ作品ということで、前回の魔女の宅急便との比較を
してみると、どちらかというと(特に宮崎駿氏で顕著な)劇的な
起伏に富んだ場面がほとんどないため、ゆったりとした感じの
物語世界を表現するものを中心とした音楽が中心になっています。

 イメージアルバムのTrack2のような、かつてのテクノのような
音楽も作れるのですが、ヴァイオリンなどの音感を生かした
クラシックとも違う独特の音楽を表現しているようです。

 伸びやかに、じっくりと短くても聞かせるという曲は、イメージアルバムでは
つくりこむことが容易であるのですが、その気分をサウンドトラックでも
生かせるというのは、なかなかできるものではありません。

 サウンドトラックにしてもひとつのアルバムとして聴くことができる、
という意味でも、聴いていただきたいサントラですね。

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第34回 大島ミチルさん
(初出:99/10/17)

 NHK朝の連続ドラマが、「すずらん」から「あすか」へかわって、
音楽担当も服部隆之さんから大島ミチルさんに変わりました。

 それで、というわけではなく、
 作曲家別アニメサントラ-27で

> 現在WOWOWノンスクランブルで 水 19:00から放送されている
>「魔法使いTai!」は、かつてOVAでアニメ化されておりまして、
>その音楽を担当しているのが、大島ミチルさんです。
> WOWOW版の方はもう少し後に発売なので、OVAのサントラを紹介します。

 と、書いておいたので再度の紹介、という形になります。

 魔法使いTai! オリジナル・サウンドトラック
  ミチルと千億の愛と魔法のしらべ (TYCY-10022 東芝EMI)

 前回のOVA版のサントラは、作品での登場順で音楽をならべるという
形を取りましたが、今回のサントラは、キャラクターや場面などのテーマ
ごとに楽曲を収録しています。サウンドトラックとしては、今回のような
ならびの方が、聞きやすいのではないか、と思います。

 ただし、新たに追加されて作った曲は1/3程度で、実質的には
今回のアルバムがサントラとしてきちんとまとまった形になっているようです。

 この作品の監督による収録楽曲の解説がありますので、それを参考にして
聞いていくと、どのように楽曲がテーマ性を持ち、また意外な方向に
転がっていくのかがわかるのではないか、と思います。

 私の知り合いに、このサントラをジャケットをみせずに聞かせた後、
ジャケットをみせると、「全然イメージが異なる」との感想を
うけました。彼いわく、演劇などの劇伴奏曲かクラシックのように
聞こえたとのこと。
 当然といえば当然ですよね。大島ミチルさんの音楽自体が、
クラシックを土台にした曲ですから。

 それはそれとして、9月以降ワイドショーなどで何度となく
使われているのには…。

 品が良すぎたり、曲の奥行きが映像をあわせる作品とミスマッチングを
おこす例が(-13で紹介した 服部克久氏の 星界の紋章 のように)
いくつか存在するのですが、この音楽については、そのようなことがなく
むしろ作品の後半には完全になじんで「これでなくては」という印象を
持ちました。
(服部克久氏は10月改編で登場したTVアニメに音楽提供していますが、
 こちらは作品世界とうまくリンクしている印象を持ちました。
 と、フォローしておく)

 打ち込み系の人がつくる品の良いクラシックなアニメ音楽曲とは
一線を画す楽曲を、秋の夜長に聴いてみてはいかがでしょうか?
 オープニング・エンディングソングとなっている尾崎亜美さんの歌
も含めて、ひとつのアルバムとしてもかなり聴き応えのある
サントラではないか、と思います。
 

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今のところ17シリーズまで

作曲家別アニメサントラ紹介

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