作曲家別アニメサントラ紹介-02

<はじめに>
 TVアニメーションのサウンドトラックといっているわりには、
ドラマサントラなどにも、多少拡張して書いています。
 そうすると、多少分かりやすいと思って書いていますが、
あまりバックの音楽も含めて作品をきちんと見ている人が、
ひょっとすると少ないのかな?という風にも思えています。
 そういう意味では、なかなか文字だけで理解させるのは
難しいような気がしています。

○第6回 岩代太郎さん
 (初出:99/02/05)

 岩代太郎さんは、TVドラマの音楽担当が結構多いです。
 番組名だけあげてみますと、
 WITH LOVE、理想の上司、恋も2度目なら、お熱いのがお好き?
 妹よ、あぐり といったところでしょうか。

 きれいな旋律なんですが曲そのものは印象に残りにくい、ドラマにとっては
いい音楽を提供している、と考えると、何となく分かりやすいのでは
ないかと思います。

 ただし、他の番組で使おうとすると、なかなか使いづらいくらい
個々のドラマにしっくりとくる感じの曲が多いようです。

 アニメーションの音楽の場合は、ドラマに比べるとそういった縛(しば)りが
結構少ないようで、緩やかなテーマ性の曲を並べていくことができるようです。

 上記にあげたドラマのサウンドトラックと、

 H2 オリジナル・サウンドトラック  KICA 260
 H2 オリジナル・サウンドトラック2 KICA 291
(いずれもキングレコード)
 と比較して聞いてみると、何となく分かるのではないでしょうか。

 春先かけて、ゆったりとした明るいけど落ち着いた感じの曲が聞こえてきたら、
ひょっとすると、このサントラの曲かもしれません。
 
 

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○第7回 淡海悟郎さん
 (初出 : 99/02/07)

 TVドラマのサントラや別のTV番組などを絡めて話をしてきましたが、
そろそろアニメのみで語っていこうかな、と思います。
(と、いうか、なかなか他の素材とからみにくくなっているというのが、
 正直な話になります)

 今回は、淡海悟郎さん。

 最近別のアニメの音楽をやっていたようですが、あまり私の中では
引っかからなかったなぁ。(確か、釣りのアニメ)

 ちょっとしたドタバタになるような場面に、テンポのよい
「すっとぼけた」音楽が聞こえてきたら、たぶん

 とんでぶーりん 音楽集 COCC-11986 日本コロンビア

 女の子がブタに変身していろいろな話が繰り広げられるという、
すっとぼけた話しですから、それにあった音楽、とでもいっておきましょうか。

 原案が実は少年マンガ。それを少女マンガにした作品ですから、
この作品自体の経過が妙ですから、空飛ぶブタの奇妙な話は
BGMでさらに妙な感じになっています。

 きちんと、ギャグモードでは三味線の音がでてきますし、
緊迫する音のあとにはいきなり変わったりしたりと、定番の
音の変化をして、楽しませてくれています。

 94年に発売されていますが、まだたまに聞こえてくるこの音楽に、
最近もTVの前で頭を抱えていたのであります。
 

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○第8回 増田俊郎さん
 (初出 : 99/02/08)

 第7回で扱ったブタ関連ということで、今回は「はれときどきぶた」の増田俊郎さん。

 この「はれときどきぶた」は、あくまで最近TVアニメとしてつくられた方
ですので、お間違えなく。(間違える人はいないと思いますけど)

 原作の絵本とは全く違った世界をつくりだしてしまった感じのある、
この「はれときどきぶた」は、音楽の依頼を受けた増田氏が
「毎度毎度先の読めない裏切り倒しのストーリー」と、いってしまうくらい
楽しい話になっています。

 そのおかげで、音楽もとんでもない楽しい作品になってしまいました。

 何度も何度も曲の発注を受けて、徹夜になっても
「オレはなあ、はれぶたをやっているときが一番幸せなんだからな!」
 といわせてしまっているくらいの作品ですから、発注されるとき
知らされるストーリーがよっぽどおもしろかったんでしょうねぇ。

 おかげで、放映していた1年以上の間、毎週笑わせていただきました。
 その反動で、この曲たちを他の番組で聞くたびに、ピンクの子豚の幻覚が
やたらと見えるようになってしまいました。

 はれぶたを見たことない人も、たぶんこのサントラの曲は絶対聞き覚えが
あるはずです。聞き覚えがないというあなた。あまりTV見ていませんね?

 はれときどきぶた オリジナル・サウンドトラック   ESCB 1841
                       (ソニーレコード)
 はれときどきぶた オリジナル・サウンドトラックVOL.2 SVWC 1201
                (SPE・ビジュアルワークス)
 
 

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○第9回 山本はるきち さん
 (初出 : 99/02/09)

 今回は、曲調としてギャップのある仕事をしている例として、
山本はるきちさんを取り上げます。

 まずは、誰もが聞いてもいい曲だと思える例から。

 はじめまして 岩男潤子 PCCG-00335(ポニーキャニオン)

 このアルバムの、2,4,5,7,8曲目が、山本はるきち氏の
作・編曲の作品です。歌唱者にあわせたきれいな旋律に、思わず
私も口ずさんだりします。(あまり私の姿を想像しないように)

 そんないい曲を聴いたあと、以下のいずれかのサントラを聴いてみてください。
 そのギャップに、笑いの出るかコケることは保証します。

「セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん」オリジナル・サウンドトラック  AMCM-4366
 浦安鉄筋家族 オリジナルサウンドトラック1−鼻毛な奴ら AMCM-4391
 浦安鉄筋家族 オリジナルサウンドトラック2−むつでゾーラム AMCM-4392
        (いずれも east west japan)

 アニメ作品を見た方はご存じでしょう。そう、回を重ねるたびに
新たな音楽が作られていく曲すべて「まじめにあそぶ」曲ばかり。
 おかげで、最近バラエティー番組を中心に聞こえてくることくること…。

 これの前につくった「ケロケロちゃいむ」(最近TXの朝に再放送しています)
の音楽はなんだったんだろうか…。確かにこちらは仕事としてはパッとしなかった
もんなぁ。

 映像で表現しきれない部分を、しっかりと音楽で表現することに徹した
彼の仕事の丁寧さが感じられますが、原作が原作だけに他の人には
なかなかすすめにくいCDになっているのは、なんかくやしい。
(CD−Rにコピーして聞かせれば、確かに回避できるが…)
 
 

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○第10回 鷺巣詩郎さん
 (初出 : 99/02/10)

 今回取り上げるのは、鷺巣(さぎす)詩郎さん。

 あの有名な「新世紀エヴァンゲリオン」の音楽担当として知っている方も、
多いとは思います。今でもTV番組で聞こえてくるこの作品のサントラは、
もう語る必要がないような気がします。だから、あえて書きません。
(NHKの番組宣伝でも使われているくらい、一般的な音楽効果用の
 サウンドトラックと思っていただいて いいでしょう)

 不思議の海のナディア     TYCY-5136
 不思議の海のナディア Vol.2  TYCY-5144
 不思議の海のナディア Vol.3   TYCY-5151 (東芝EMI)
 

 90年にNHKで放送されたアニメ番組のサントラですが、曲だけきいてみると、
それほどアニメの音楽という感じはせず、むしろ舞台などで使うような音楽に
近いような気がしました。それとはうって変わった、いかにもアニメの音楽
といった曲も当然ありますし、キャラクターたちが歌う歌にいたっては、
もうそのものといった感じに仕上がっています。

 どうも、70年代くらいに流行った音楽を中心にしたコンセプトがあった
ようですが、それほどそのような感じが私には感じられませんでした。

 そのコンセプトをもっと突き詰めた感じになったのが、

 彼氏彼女の事情 ACT1.0 KICA 440 (キングレコード)

 いかにも70年代のホームドラマっぽい曲や、正太郎マーチなど、
そのころを知っている人は素直に楽しめるんじゃないでしょうか。
 さらに、きちんとクラシックに近い感じの曲もあります。

 12月下旬に発売されたこのサントラCD。まさか、正月早々
別のTV番組で聞くことになるとは思いませんでした。
 

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○第11回 根岸貴幸さん
 (初出 : 99/2/14)

 アニメ作品のオープニングやエンディングで使われる主題歌などの
アニソンは、ずいぶん語られているようですが、私が書き続けている
アニメ番組のサウンドトラックは、それとは別個のものです。
 その辺は、TVドラマも同じようなことがいえます。

 それはさておき、今回は根岸貴之さん。

 アニメの作品名は忘れてしまいましたが、一昨年あたりのアニメ番組で
音楽を担当していて、曲自体はセンスがあるのにアニメ自体があまり
よくないのでそれほどいい音楽じゃないなぁ、という印象を根岸さんの
作品で持ったのが最初でした。

 だから、カードキャプターさくら(NHK-BS2 火 18:00)で
彼の音楽を聴いたとき、「いい素材に出会えたな」という感想を持ちました。

 サウンドトラック2で、監督の浅香守生さんが音楽全体のイメージについて、

 まず、ベースとしての少女漫画というものがあるので、女の子っぽい
ものというのは意識していました。で、さくらの世界っていうのは、
少女漫画としての日常があるという一方で、さくらがカード封印のために
バトルしていくという非日常があるわけです。この非日常の部分に関しては、
いわゆるロールプレイングゲーム的な世界を音楽としてイメージしていました。

 と、インタビューの中でいっていました。

 ここまで明確なイメージがあるということは、かなり作品世界を
きっちりと構築しているものと想像できます。でも、日常と非日常をうまく
音楽として同居させるということは、なかなか難しいものです。

 さらに、日常をきちんと表現する音楽というものは、起伏を作りづらく、
単調なありきたりのものになる危険性をはらんでいるようです。
 それなりに評価されている日常の風景を中心としたアニメの音楽は、
その点をうまく「アレンジ」していると思います。
(過去のあげたものでは、ママは小学4年生 がそれにあたります)

 根岸さんも、

 カードキャプターさくらのBGMを作曲するにあたっては、
ファンタジックなカードの世界観、さまざまなキャラクター達の
個性などをいかに表現するかに注意をはらいました。
 私にとっては作曲するのは日常のことなのですが、小学生の生活、
まして恋心など遠い昔に忘れてしまったことなので、「うーん、
最近の子供達はどんな生活をおくっているのだろう?」などと
よけいなことを考えつつ、いつになく時間がかかってしまいました。

 と、いっていますから、結構大変なことのようです。

 忘れていましたが、紹介するサウンドトラックは

 カードキャプターさくら オリジナル・サウンドトラック  VICL-60263
  カードキャプターさくら オリジナル・サウンドトラック2 VICL-60342
       (いずれも ビクターエンタテインメント)
 

 最近TV番組をそれなりに見ている人であれば、この中の何曲かは
聞いているはずです。どうしてそれだけ使われるのかという理由は、
日常と非日常がうまく調和した音楽達がいっぱいはいっているからです。

 根岸さんの音楽は、結構スタンダードな旋律が多く、妙に凝ったような
感じの曲はほとんどありません。スタンダードな旋律であるがゆえに、
品がよく感じられますし、メロディーラインがしっかりしていないと
なかなかいい感じの曲として仕上がらないのですが、そこもうまく
作れているようです。
(その後 第38回に紹介あり)
 
 

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○第12回 片倉三起也さん
 (初出 : 99/2/15)

 今回は、ALI PROJECT。
 作曲の片倉三起也さんと作詞・歌の宝野アリカさんのユニットです。

 確かCLAMP原作のWishがイベント公開用で制作されたとき、
その音楽と担当したのが、確か今回紹介するALI PROJECT。
 そちらの方は私の範囲外なので、ちょっと分かりませんが、
そのときの音楽がよかったからでしょうか。一昨年TXだけで土曜日朝に
放送されたCLAMP学園探偵団で、ALI PROJECTが音楽を担当しています。

 今回紹介するのは、そのサウンドトラック。

 CLAMP学園探偵団 オリジナル・サウンドトラック1 VICL-60046
 CLAMP学園探偵団 オリジナル・サウンドトラック2 VICL-60060
             (いずれも ビクターエンタテインメント)
 

 残(のぼる)は優雅に、蘇芳(すおう)は勇ましく、玲(あきら)は可愛く、
イメージどおりの曲ができました。それは、女の子の味方で優しい三人を
陰で応援するような気持ちで作った曲たちです。

 と、宝野アリカさんが書いているように、上品で優しく美しい曲たちが、
このサウンドトラックの中で、いろいろな表情を見せてくれます。
 CLAMPの描く人々は、基本的に上流階級っぽい感じがします。
その気分をきちんと織り込んで、それでありながらそれほど取っつき
にくい感じのない曲に仕上がっています。

 アニメのサントラの場合、最初のものが印象が強く、そのため最初のものに
比べてどうしても第2弾はあまり質的にいいものにならないことが多いのですが、
このサントラ2は、1で紹介できなかったアレンジを変えた曲など、さまざまな
シーンで使われた曲を中心にうまく作られています。

 このように、最初のサントラをアルバムとしてのまとまりを重視した
曲の編成にして、次のサントラでは場面設定ごとにまとめられた
曲を集めるといった形でほぼ同じテンションで作られるパターンは、
同じくCLAMP原作の作品のカードキャプターさくらでも使われていました。
(サントラを製作した会社が同じということもあるのでしょうけど)

 今回取り上げたサントラの曲などに歌詞をつけて「歌」にすると、
これがまた結構いい感じのものになっています。
ただし、これはALI PROJECTだからできる技法のような感じがします。

 Noblerot  ALI PROJECT  COCP-50006  (日本コロンビア)
 

 何曲かは、そんな風になっていますので、比較して聞いてみるのも
いかがかと思います。

 今回取り上げたサントラは、ゆったりとした午後のティータイムに、
BGMとして使ってみるとなかなかいい感じかもしれませんね。
 
 
 

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