今年も、気づく範囲内でサントラのTV番組BGM利用
「ヘビーローテーション」を自分なりにまとめてみようと思います。
サントラ発売時期が、2005年11月から2006年10月まで
いう限定をしておきます。
<TVドラマ・TV番組・映画>
今年度は、映画で一つ取り上げさせていただきます。
○映画「子ぎつねヘレン」オリジナル・サウンド・トラック
ヤマハミュージックコミュニケーションズ YCCS-10033 2006.3.1発売
西村由紀江
もともと、ピアノ楽曲で定評が高い西村由紀江さんは、いくつか映画音楽の制作も行っています。
そういった仕事の中でも、メインテーマの旋律が印象的に残りつつ、それでいてきちんと場面に寄り添う形で表現できたという意味では、秀逸なものだったのではないかと思います。
<TVドラマ・TV番組・日本映画の2006年の印象>
TVドラマは、ドラマ自体のヒットが少なく、そのヒットしたドラマの印象的なカットとともに流れてくる音楽というものが残らないため、音楽の質が高くても楽曲を取り上げられる機会を失ってしまっているような感じです。このため、昨年以上に、TVドラマのサントラ発売自体も減っているようです。
TV番組でのサントラは、NHKが一連の不祥事で制作状況が縮小局面となっております。スペシャル番組であえて作品用音楽を作ることも減ったこともあり、サントラそのものが減っている状況になります。
日本映画は、作品そのものは今期もヒットしているのですが、主題歌もそれほどヒットといえるものもないし、サントラ自身も作品をイメージできるテーマ性のあるメロディを作れなかったようです。
サントラ単独でも、楽曲としてまとまりがあるというより、細切れな場面にあわせた楽曲が多かったように思えます。
<アニメサントラ>
アニメサントラに関しては、4つ取り上げさせていただきます。
○ARIA The ANIMATION ORIGINAL SOUNDTRACK
ビクターエンタテインメント VICL-61795 2005.11.23発売
ARIA The NATURAL ORIGINAL SOUNDTRACK due
ビクターエンタテインメント VICL-61935 2006.5.24発売
Choro Club,妹尾武
前年段階ですでに載せる予定にしていたくらい、日常生活のゆるやかな雰囲気の表現を楽曲として心地よく旋律で響かせていました。第2シリーズでもその楽曲のイメージは変わることなく、定番利用サントラの一角を占めることになったと言っていいでしょう。
歌詞のある楽曲提供が多く、その歌の旋律をベースとしたピアノ曲でも定評のある妹尾武さんと、バンドリン・ギター・ウッドベースで独特の雰囲気の楽曲を出しているChoro
Clubが、TVドラマ「彼女が死んじゃった。」で評価されたものを、今回結実させたと言うことになるのでしょう。
○びんちょうタン サウンドトラック
フロンティアワークス FCCM-0105 2006.3.24発売
岩崎琢
キレイな音楽を聴きましょう。 というタスキに表記された文に違(たが)わない、比較的少ない楽器でゆったりとしたリズムで旋律をスウィングさせるようにのせている感じのもので構成されたサントラです。
岩崎琢さんのこれまでのサントラの評価の高さもありますが、リズミカルにテンションをあげた感じの楽曲がないもので、それでも映像を引き立て聴かせてくれる楽曲と言うことで風変わりではあります。メインテーマとしての旋律でテーマ性をもたせておらず、それでいて、それぞれの場面を表現して一つのサントラとしてイメージできるものになっています。
○地獄少女 オリジナルサウンドトラック
Aniplex SVWC 7331 2006.1.25
高梨康治,水谷広実
こういったある種作品のイメージが固まっている作品の場合、結構定番ともいえる曲調でおさまっちゃうことが多いのです。しかし、新たな楽器との出会いや静かな曲の中でのオリジナリティ、あえてその曲調から外れて勢いで作った楽曲などがうまく混じり合って構成されている感じです。
必要以上に音楽でイメージを作ることなく、静かに音を重ねて場面表現に徹していることも、利用しやすいようです。
○桜蘭高校ホスト部 サントラ&キャラソン集≪前編≫
VAP VPCG-84841 2006.7.26発売
桜蘭高校ホスト部 サントラ&キャラソン集≪後編≫
VAP VPCG-84842 2006.8.23発売
平野義久
庶民とは対照的なイメージを映像だけでなく楽曲でも、ということで、クラシック調の楽曲となっています。それだけではなく、アニメサントラでは交響曲に近い楽器の多い重厚なものと、少ない楽器で聴かせる室内楽に近いものの、ちょうど中間的な数の楽器を使って作り上げている印象があります。このため、類似のクラシック調の楽曲とはひと味違って使い勝手のよいものに仕上がったことと、作品自体の想定外のヒットで、結果として利用が多くなったようです。
次点としては、
ひぐらしのなく頃に オリジナルサウンドトラック(フロンティアワークスFCCM-0137)
灼眼のシャナ オリジナル・サウンドトラック(Geneon GNCA-1059)
Simoun オリジナルサウンドトラック1(ビクターエンタテインメント VICL-61964)
を挙げます。
いずれも音楽を担当した作曲家の評価が高く、楽曲自体もそつなく期待通りのものとなっているのですが、その範囲内に楽曲がおさまっています。そこで、これまでのサントラと別のTV映像で利用するための決定的な選択させる差がなく、中途半端に使われているという感じでとどまったようです。
ひまわりっ!・BLOOD+・蟲師・ZEGAPAINなど興味深い使われ方をしたものもあったことも付け加えておきましょう。
<アニメサントラ 2006年の印象>
引き続き大量にTVアニメがつくられている状況で、サントラ単独で発売されるためには、ある程度作品自体の売り上げが必要のようです。このため、サントラが発売されなかったり、TVアニメの方のxxxHoLiCのように(S.E.N.S.
projectの楽曲にもかかわらず)DVDの特典としてつけられる例が増えてきています。(劇場版xxxHoLiCは、単独でサントラを発売している)
これによって、サントラがアニメ作品の中で封印され、利用されにくいという状況を作り出していることに、やはり危惧を感じます。制作されたアニメは、発表後から後に評価されることは難しいですが、サントラのような音楽では、その後評価されて利用される可能性が結構あったりするものですし。
ゲームなどのアニメ化では、どうもそのゲームの世界観を崩さずにTVアニメように作り直すだけにとどまってしまうようで、最近この手の作品群から、アニメサントラとしてひかれるものが登場していないように思います。むしろ、AIRやKanonのようにゲーム音楽そのものでアニメでも使って、それでも遜色ないものもあるくらいです。
Aniplexなどが目立って行っているアニメ作品ごとの主題歌のコンピレーションアルバムは、アニメ作品の力と言うより、TVドラマの主題歌同様に楽曲自体の魅力に(コンピレーションなどまとめて)プラスアルファして売り込んでいるようです。こういった形に、キャラクターソング集が売り込めないことから、今後もそれほど市場拡大は難しく、サントラとあわせてしまって、さらにサントラだけを購入したい人には好ましくない状況になってしまうのではないかと思います。
手間をかけて制作側がこだわっているサントラが、結果として作品のヒットと相まってサントラ自体もヒットしたという感じがしました。ただ、アニメ関連の企業の株価が2006年に一気に低下したこともあり、資金調達面での厳しさが増してくると思われますが、多作傾向の縮小ではなく、資金自体の縮小に向かって、サントラの発売が減っていかないことを期待します。
sh-kato
通常版は、今のところ17シリーズまで
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