作曲家別アニメサントラ紹介-09

<最初に>
 いまさらながら振り返ると、まあよく50以上も書いたものです。
 こう並べて見ていくと、なんとなく書き方のクセのようなものが
でてきていて、あまり違いのある説明になっていないのかも
しれません。でも、それが自分の言葉での説明の限界のような
ものですから、あとは音でカバーしたいと思っていたりしますが…
容量が結構必要なのが、厳しいですね。それもあって、
なかなか音の方のアップがままなりません。

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第49回 美和響さん
(初出:00/07/23)

 通常は、TV番組での使用頻度の高いものということにしていますが、
今回は、そこからちょっと離れる形になります。
 今回取り上げるサントラは、以前CX 日曜の名作劇場で放送されていた
「七つの海のティコ」のサウンドトラックです。(NHK BS2 水 18:30)

 七つの海のティコ Music Collection
    (フォルテミュージックエンタテインメント FMCC-5038)

 この作品の音楽は、制作側も短めよりも長めの曲で、その曲の中に
いろいろな要素を取り入れようということのようです。
 実際に使われる場合は、当然カット割りの都合でその一部を
使うことになるのですが、一部を使っているという風なことを
感じさせない曲になっていたりします。

 アニメサントラとしてのクラシック系の音楽は、大島ミチルさんなどに
代表されるように、ポップス系のはじける感じのもの、弦楽では
ヴァイオリンとかが主旋律となるような曲か、菅野よう子さんのように
軽妙だけど重厚なものをバランスよく並べる感じのものがその多くを占めます。

 そういうものと比べると、美和響さんの音楽は、学校音楽でもよく聞かされる
オーソドックスな楽器のアレンジがその多くを占めます。このためでしょうか。
ちょっと音楽自体に重みが感じられます。
 でも、この一種の重みが、曲単体として聞いてみるとなかなか心地いいんです。
 クラシックの音楽しか聞かない人であれば、むしろしっくりとくる曲なのでは
ないかと思いますが。

 この重みが、ほかのアニメーションのサントラにありがちな感情の過剰な
アップダウンをうまいこと抑えてくれていて、七つの海のティコという作品には
絶妙にあっている感じであります。
 一気に感情が高ぶるものもいいのですが、ストーリーをいくつも重ねていくうちに
わき上がってくるじわっとした感情を演出している曲というのも、それなりに
評価すべきなのではないでしょうか。

 作品の映像が浮かぶといった感じの曲というより、曲そのものの
完成度が高いという印象のサントラという風に、私は受け取りました。

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第50回 田中公平さん
(初出:00/08/17)

 1年半以上経ちまして、ようやく50回に突入しました。
 まだ、ネタはつきそうにありませんので、おつきあいください。

 今回は、田中公平さん。

 比較的多作な方で、山本正之さんなどと一緒にサントラを制作されていたり
するので、アニメーションとしてはスタンダードな作曲をされる方です。
 印象に残る旋律を作り出し、それをアレンジすることが多いのですが、
アレンジにはクセがあるんですが、そのテーマとなる旋律については、
よく同じ人でこれだけつくるものだ、と思えるくらい、それぞれの
アニメサントラとしては独立してつくられている印象があります。

 最近のものでも、ワンピース(CX 水 19:00)とサクラ大戦(TBS 土 17:30)が
同じ作曲者によるとはちょっと考えにくいくらい、うまくつくられています。

 でも、今回紹介するのはこれらとはまた別の感じに仕上がったものになります。

 ゲートキーパーズTV オリジナルサウンドトラック
  (ポニーキャニオン PCCG-00540)

 TVとつきますように、この以前にプレイステーション用ゲームとして
あらかじめつくられたものが、その基礎となっております。
(この流れは、サクラ大戦に近いな)

 ここ数年田中公平氏が作っている曲は、どちらかというと打ち込み系の
のりのいい感じに近い印象のものがその多くを占めていたような気がしますが、
この作品では、アニメ・ひみつの花園の音楽のように、クラシック(というより
吹奏楽かな)の多層的に音を使っているような感じです。
 私としては、この手の作り方の曲の方が好きなので、WOWOWでの放送
(月 18:30)を見ていて、すぐに「買い」と判断したわけであります。
(逆に、サクラ大戦やワンピースには食指が向きませんでした)

 インベーダーの登場する場面向けには、やはりシンセサイザーでなければ
作り出せない金属のような感じのするきつい音が登場しますが、主旋律として
流れる音は吹奏楽などで使われる楽器の音が使われていて、あくまでも
存在感のある音で占められている形になっています。

 しっかり、田中公平氏らしい「すっとぼけた曲」も入っていました。
(この手のすっとぼけた曲は、川井憲次氏と山本はるきち氏も
 得意としていますね)

 危機感をあおる時って、スタンダードな曲の方が効果的なようで、
まさに、その定番のような作り方がされていて、他の番組でも使えるかな?
と思ったら、早速ワイドショーなどで使われていたのには、あきれるよりも
みんな同じことを考えているなぁ…という感じです。
 

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第51回 増田俊郎さん
(初出:00/10/07)

 個人的には、「だあ!だあ!だあ!」のサントラを紹介できるかな、
と思っていたら、なかなか発売されず、別の作品を紹介することに
なりましたが、基本的な部分は変わらないでしょう。

 前にも、お友達関係で作るとうまくいくと書きましたが、
今回紹介する「デ・ジ・キャラット」も、その例にあたります。

 でじこのサウンドフェスティバル (キングレコード KICA 521)

 デ・ジ・キャラット サマースペシャル2000という、昨年末(だったと思う)に
TBS系深夜のワンダフルで放送されたデ・ジ・キャラットの続編に
あたります。(しかし、夏休みにTBSのみの放送。そのうちDVDなど発売予定)

 かわいいキャラがでてくるから、しょーもない話と思ったら、
桜井弘明さんの監督作品ということで、しっかり「ギャグもの」になって
いました。そうなれば、「とっちらかった」音楽を作る第一人者(といっても
いいかもしれない)桜井さんの学生時代からのお友達 増田さんならではの
曲がオンパレードとなりました。

 さすがに、キャラクターが歌う歌や主題歌は増田さんの作品では
ありませんでしたが、挿入歌として入っている「せりふを歌にしたようなもの」は
増田さんの曲でした。

 曲自体は、ジャケットさえ見なければスタンダードな劇伴ですよ。
サブタイトルとかアイキャッチなどは、うまく他の作品と違った曲になるように
工夫されていますし、曲のほとんどが第1主題とちょっと変化を加えたブリッジで
構成されていますからねぇ…。
 ただし、使っている音現数が案外に少なくて、本当にメロディーラインのみで
聴かせているということになっていて、輪郭線の濃い曲になっている点が
今回のサントラの特徴といえるでしょうか。
 ちゃんと、パクリっぽい曲もありますよ。お約束ということで。

 同時期の作品である「HAND MAID メイ」(WOWOW 水 18:30 7-9月放送)の
音楽が思った以上に特徴に欠く感じがしたのと対照的に、デ・ジ・キャラットは
うまいこといったような気がする。(HAND MAID メイは、声優さんの歌を
売るといった部分では、うまくいっていたような気がするんですが)
 

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第52回 根岸貴之さん
(初出:00/10/21)

 彼の代表作となったような感のある「カードキャプターさくら」も
やっとアニメシリーズとして終わった形になっております。

 ということで、今回紹介するのは打ち止めとなるこの2枚。

 カードキャプターさくら オリジナル・サウンドトラック4 (VICL-60544)
 劇場版カードキャプターさくら 封印されたカード
   オリジナル・サウンドトラック   (VICL-60591)

       いずれも、ビクターエンタテインメント

 オリジナル・サウンドトラック4の方は、さくらカード編とよばれる
TVシリーズ後半部のために加えられた曲が収録されております。

 曲調などはほとんど変えることはなく、むしろ新たなキャラクターである
エリオルなどのために落ち着いた感じの曲が加えられたという感じで
あります。また、このように落ち着いた曲が多いのは、クロウカード編と
よばれる前半部のようなカードを集めるといった動きのある映像から、
どちらかと心情描写に比重が移ったことにも、影響しております。

 このように、作品の前後半でその描くものが大きく変わり、それに
あわせて音楽も追加されることはよくありますが、同じ作曲家に依頼して
行うという事例は、たいがいの場合大きく作品が描く方向を変えるために
ほとんどないはずです。
 それだけ、この作品では統一した設定という部分を大切にしつつ、
ストーリーの展開などを組み合わせて変化をつけていることが分かるかと思います。

 この、作品としての統一したイメージというのが、カードキャプターさくらの
サントラが発表された6枚すべてが使われるという結果になっていると
いってもいいでしょう。

 2つ目の劇場版のサントラは、その前にでた劇場版サントラと異なり、
TVシリーズの最終話からのつながりを重視した作品となっているため、
TVシリーズのサントラをまとめてさらにアレンジを加えた印象の
曲がその多くを占めております。これまでの曲がどんなものだったかも
含めてまとめて聴きたいのであれば、このサントラだけを聴いてみれば
大丈夫といった感じになっています。
 

 さて、カードキャプターさくらの音楽は、メロディーというのか
使われている主旋律はかなりオーソドックスなものであり、目新しい
ものはないと言っていいでしょう。では、どこが他のサントラとの際立った
特徴かというと、リズムの崩しという部分だったのではないかと、私は
推測しました。たいがいの場合、主旋律を奏でる楽器のリズムと同じように
他の楽器もリズムを刻むのが一般的ですが、多少の「ずらし」があるために
主旋律だけとは違った曲の起伏を生み出しているのではないかと
思うのです。
 それは、彼のアレンジした歌の多くで、そのような印象があったからですので、
それほど確信があるものでありませんし、実際に楽譜まで見て確認した
訳でもないので、ひょっとすると私の思いこみかもしれません。

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第53回 大野克夫さん
(初出:00/11/05)

 往年のTVドラマの名作「太陽にほえろ!」などの音楽でも有名な
大野克夫さん。歌謡曲・映画音楽・TVドラマ・TVCMなど
かなり広範囲に仕事をされている方であります。

 でも、この方がアニメサントラにでてくるとは思わなかったなぁ…。

 大野さんの曲は、基本がジャズですからメインとなる楽器と
それをうまくセッションのように組み合わせていくという感じに
なりますから、アニメサントラに多いジャズ風と行った作りとは
一線を画す曲になっています。

 シンプルな旋律、楽器がはっきりと分かる形で聴かせてくれる
曲は、劇伴としては個性が強すぎて下手をすると画像への
マッチングがうまくいかないことが多くあります。
 ところが、場面自体が緊張感の固まりのような「名探偵コナン」
ですから、ほとんど違和感なく聴くことができます。

 それにしても、かなりのサントラがでているので、追従する
余力がないので、持っているのはこの3枚。

「名探偵コナン」オリジナル・サウンドトラック (POCX-1017)
「名探偵コナン」オリジナル・サウンドトラック2(POCX-1027/8)
「名探偵コナン」オリジナル・サウンドトラック3(POCX-1055)

            (いずれも PolyGram)

 とにかく、楽器はあまり変わらないのに、同じ曲のアレンジが
本当にたくさんあって、しかもしっかりと別の曲として聴けるという
「技」のようなものを感じますね。

 これだけたくさん曲を作っても問題ないくらい、ある意味
ぜいたくに音楽をつくっている作品は、なかなかないんじゃないかな?

 オリジナル・サウンドトラック2では、作品として使われている
曲を1枚目のCDに、あらかじめライブレコーディングする前に
つくったシンセサイザーによる音コンテが2枚目のCDに、それぞれ
収められています。
 音コンテでも十分普通のアニメサントラなら合格といえる
出来ですが、やはり生楽器でつくられた現在流れている曲の方が
演奏者などの複数の作り手が絡むことによる相乗効果で、
より完成度の高い曲に仕上がっている感じです。

 この手法がすべてに通用するわけではないですし、むしろシンセなどの
打ち込み系の音楽の方が適しているものも当然あるわけです。
 でも、井上克夫さんの音楽は、やはりジャズのセッションのような作り方が
適していることを感じたわけであります。
 

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第54回 浜口史郎さん
(初出:00/12/01)

 この方、AWOLという深夜のアニメ作品の音楽を担当していたようです。
 作品が多少暗めだったので、きちんとした音楽だけどあまりにしっくり
しすぎて、全く音楽が目立たなかったという印象でした。

 今回、OVAなどで結構興味深い音楽をつくってくれた「ああっ女神さまっ」の
劇場版を担当されたとのことで、どうこの作品を調理されたのか気にかかって
映画も見ずに購入してみました。

今回紹介するのは、

 劇場版 ああっ女神さまっ オリジナル・サウンドトラック
  (ポニーキャニオン PCCG-00556)

 劇伴音楽としては、場面が浮かぶような音楽でなかなかいい感じに仕上がって
いるし、浜口さんらしい旋律というものを聞かせてくれています。
 ただし、劇場版としてある程度の豪華さが必要だったため、
オーケストラを使って音を組む選択は間違いではないのですが、
浜口さんらしい旋律がちょっと薄まった印象を感じました。
 でも、その薄まった部分にあまりあるほどの楽曲の良さに、
ワルシャワフィルハーモニーの表現力が加わって、アルバムとしての
クオリティーはずいぶん高いものと感じました。

 シンプルな旋律で音楽をつくるということは、かなり難しいものとなる
はずです。オーケストラのたくさんある楽器に惑わされることなく、
そのシンプルな旋律を伝えることに終始した曲には、感動させられました。

 また、ピアノを中心としたこれまたシンプルな旋律によるセッションも、
そのオーケストラの音楽との間で違和感なく存立できている点も、
評価すべきでしょう。

 TV番組で使われるかどうかはともかく、劇伴音楽としては
エスカフローネと同じように適切であればきちんと場面にはまるし、
単独の音楽としてもきちんと立っていると思いました。

 ただ、やはりエスカフローネとどうしても印象がだぶってしまうのが、
損といえば損かな?とも思いました。

それほど関連しない話になりますが、
起伏のない俗に言う「癒し系」の音楽などよりも、劇伴音楽のように、
ある程度の起伏をもちつつ、かつ心地よくさせる音楽というものを、
評価すべきと思います。でも、なぜかこの手の音楽はひとまとめにして
語られてしまうことが多いようです。

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第55回 外山和彦さん・鈴木武生さん
(初出:01/01/16)

今回紹介するのは、

 それいけ!宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ Action-1
  (キングレコード KICA 469)

 実のことを言うと、これはそれほど使われているといったもので
ないんですけど、何となく引っかかっているので取り上げたという
ものだったりします。

 外山さんの作られた音楽は、どうも既存の劇判といった感じから
抜けきれない感じで、どこか聞き覚えのある旋律といった感じです。
 たぶん、歌などの作曲をされているのがメインで、インストなどの
曲を作り慣れていない印象があります。だから、きれいな旋律なんだけど
印象に残らないんですね。

 ところが、ファンファーレのような音楽をつなげていったような
感じの曲になると、がぜん印象に残る曲になるんですね。
 こういった風な感じの劇判というのは、サントラとして収録すると
あまり面白味に欠けるのですが、個別の曲として楽しむとなかなか
楽しめるのです…でも、そういった評価にはならないですね。
 それに、たぶんこのサントラを購入した人の多くは、ドラマ部分を
楽しむ方がメインだったと思いますし。

 鈴木さんの方の音楽は、打ち込み系の感じなのか、いまいち
輪郭のある曲といった印象を受けなかったので、どうも感想が
書きにくいなぁ…あまり音をたくさん使わず、ざらついた感じの
曲調のものは、比較的よかったかな?といった感じでした。

 この手のサントラは、特定の曲だけが頻繁にTV番組で使われる
例が多く、たいがい場面も似たようなもので使われる感じであります。
 電子掲示板などで、このサントラの曲が使われているといった
報告が書かれる例は、どうもこういったものが多いような感じです。
 ですから、サントラ収録曲のかなりの数が使われるといった事例は、
なかなかお目に(というかお耳に)かかれないもののようであります。
 

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第56回 中村暢之さん
(初出:01/02/01)

 とうとう、このアニメサントラ紹介も3年目に突入です。
 続くと思わなかったなぁ…。

今回紹介するのは、

 ムカムカパラダイス・サウンドアラカルト!
  (アポロン APCM-5023)

 普通中村さんなら、「グルグル」とか「パプワくん」とか「ちびまる子ちゃん」
を取り上げるのような気がするけど、これらはほとんど他のTV番組では
使われていないんだよね。パプワくんのある1曲だけ、例外があるけど。

 あまり曲の中で起伏のある方ではなく、ゆっくりとしたリズムで
のほほんと曲が流れていくという感じのため、何となく印象に
残りにくい曲調です。これが、ボーカル曲になると、歌が引き立つ
感じになるんですから、作曲・編曲というのは奥が深い。

 で、ムカムカパラダイスでは、あまり個々のキャラクターが
際立つ作品でなかったため、この「のほほん」とした感じの曲が、
結構印象的だったんですね。パーカッションが目立つ曲が、
結構そののほほんとした感じにちょうどいいスパイスを利かせた感じに
なって、結構曲として楽しめたんですね。

 逆に言うと、この他の中村さんがかかわった作品って、結構目立つ
キャラクターを中心にしていたため、どうしてもそのための曲や
場面代わりの曲が多く、ただ延々と流しているだけの「ぶらぶらもの」と
いった感じの曲が少なかったからねぇ。

 こう考えてみると、何が功を奏するのか、作ってみないと分からないのが、
サントラの特徴ともいえるのでしょう。
 

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第57回 増田俊郎さん
(初出: 01/03/04)

今回紹介するのは、

 だぁ!だぁ!だぁ! オリジナル・サウンドトラック
  (ビクターエンタテインメント VICL-60596)

 最近のアニメサントラの発売は、比較的早くなってきているのですが、
このサントラはかなり遅かったなぁ。2000.4放送開始でサントラ発売が
11/22だからね。

 それはともかく、発売後すぐにTV番組で使われていたようで、
デ・ジ・キャラット サマースペシャル2000と同じように、
期待されているなぁ。

 少女マンガ系のアニメサントラは、比較的日常を表現することもあり、
画面にあわせやすい感じではあると、これまでも述べてきましたが、これも
そのご多分にもれない作品であります。
 曲と作品の映像との親和性も、かなりしっくりしている感じになっていて、
作品が放映する前に発注し、つくられたとは思えないくらい、いい感じに
おさまっているのには、感激したなぁ。

 さらに、音楽としてしっかりと「立っている」部分もあり、その辺は
ブックレットにも気を遣ってつくっていることが書かれていて、すごく納得
しました。だめ押しで、しっかりギャグも入っているので、増田さんが
つくりやすい環境の作品だったんでしょうね。

 曲だけ聴いてみると、劇伴というより(曲の長さは短めですが)
BGMといった感じのものが多くを占めていて、きちんと過去の作品とは
違った(主旋律としての)曲調になっている点も興味がもてます。

 こういったクオリティの高いサントラに出会えるというのは、
こんな風に購入しコメントをつけているからということもありますが、
やはり楽しいですね。
 

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第58回 有澤孝紀さん
(初出:01/03/23)

2年2ヶ月も書いてますが、ほぼ月間ベースとはいえ同一テーマで書くことの
難しさをひしと感じております。

今回紹介するのは、

 Tails of Eternia -the animation- オリジナルサウンドトラック「トスウク」
  (キング KICA 534)

 アニメ作品としてはいまいち食い足りない感じがありました、
TVゲームをアニメ化した作品である、テイルスオブエターニア-the animation-。
 もともとのゲーム音楽を使っている部分はあるものの、かなり有澤さんの
オリジナリティーがでているサントラに仕上がっています。

 どうしてもゲームから派生した作品は、緊張感がある感じのものや
ミニマム音楽(同じフレーズを繰り返していくという前衛的な音楽。ゲームでは
同じ画面をうろつく関係で、比較的多く使われる。ブラブラものともいわれる)に
近いものがその多くを占めてしまうのですが、あんまりこの作品ではないですね。

 のどかになんか楽しんでいるような、イージーリスニングに近い感じの
曲が多く、キャラクターのテーマ曲のようなものもほとんどなく、有澤さんが
最近携わったサントラとはずいぶん違った感じのものに仕上がっています。
(たとえば、デジタルモンスターとか)

 「きんぎょ注意報!」みたいなギャグものとまではいかないものの、それに近い
感じのサントラに仕上がったかな?という印象を受けましたし、第1話で
サントラ購入を決めたのですが…もはやTV番組で使われているとは…
(発売 2001.3.7ですからね)

ブックレットにある有澤孝紀さんの言葉の後半を引用すると

ハードロック!の要素と14−15世紀の中世ヨーロッパで流行った
リュートや竪琴のイメージ、そして南国の海上都市が舞台となっている
ことを考えトロピカルな(もう死語か?)雰囲気をプラスして
仕上げたが、さて!いかがかな?みなさん

−−−引用終わり

はい。十分その通り仕上がっておりました。
ついでに述べさせてもらうと、和楽器の音まで登場するとは思いませんでした。
(こんなものを使うときは、たいがいギャグ向けの音楽というお約束ですからね)

それと、アイキャッチのような短い曲も結構記憶に残りやすい旋律だったと
いうことも付け加えておきましょう。
 

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第59回 和田薫さん
(初出:01/03/30)

 今回紹介するのは、
 犬夜叉 音楽篇  (マーベラスエンタテインメント AVCA-14099)

 金田一少年の事件簿,銀河戦国群雄伝ライ,いじわるばあさん,疾風アイアンリーガー,
宇宙の騎士テッカマンブレード,聖羅VICTORY,ロードス島戦記 英雄騎士伝,To Heart,
レレレの天才バカボン,からくりの君,STRANGE DAWN

 リスト化したものの中だけでもこれだけつくっていて、かつ最近の作品も多くあるのに、
なぜか初紹介だったりします。

 たぶん、本来和田さんが持っている曲のスタイルと、つくられた映像作品との間に、
ある種の差のようなものあって、映像がついていけなかったんじゃないかなとおもいます。
 和田さんは、ブックレットのコメントには、いろんな楽器を通常の劇判作りと比較して、
その現状を度返しして使ったと書いていました。
 でも、場面にあわせた楽器とかの使われ方の豪華さの効果より、作曲した曲そのものが
持つパワーをしっかりと受け止められる作品にやっと出会えたという印象の方が強いですね。

 アクションシーンとのどかな雰囲気が同居するような設定では、やはり輪郭線の濃い
多少主張気味でよりドラマチックな曲が劇判としてはえているように感じました。

 でも、かつてはこんな風に印象が強い劇判がアニメサントラの多くを占めていたんですけどね。
今では、ある程度予算をつけたTVアニメか劇場用アニメでしかこんな風な音楽は
お目にかかりにくくなっています。たぶん、劇判というより、題名のない音楽会に登場しそうな曲だよね。

 それにしても、これだけ和楽器がたくさん使われているTVアニメのサントラというのは、
たぶんこれだけなんじゃないかな。とにかく、和田さんがこれまで使った
手法を惜しみなく使って作った曲という印象があります。

 …でもね。これらの曲があまりニュースなどで使われないことを、ちょっと心配しているんですけどね。
(機動警察パトレイバーのサントラがニュースでよく使われる時って、
 明るいニュースでない場合が多かったことを、つい思い出したもので)

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第60回 菅野よう子さん
(初出:01/03/30)

  今回紹介するのは、
  地球少女アルジュナ オリジナル・サウンドトラック
  (ビクターエンタテインメント VICL-60703)

 アニメサントラが好きという人が待っていた、菅野よう子さんのサントラが登場いたしました。
 アニメ自体はいまいち評価がわれてしまうくらい、うまく主題がこなれていたかどうかの疑問は
ありましたが、音楽の方はそれ単独でいい感じに仕上がっていたりします。

 菅野さんが得意とする、どこかで聞き覚えのある曲調なのだけど、
でもかなりいろんなアレンジをされていて、新たな劇判音楽としての世界を今回も構築しています。

 今回はギターなどの弦楽器が主となって表現された曲が多く、これまでの
交響曲的な作り方(天空のエスカフローネ)ジャズなどの曲調が強い(カウボーイビバップ)などとも異なる、
ターンAガンダムとも違う、民族音楽っぽい気分を残した感じの曲がその多くを占めています。

  それにしても、この人の音楽の幅ってどこまであるんだろう?
  さらにいうと、発売して1週間もしないのに、もうTV番組での利用例があるというのは、
やはり一般的でない業界の人に近い筋には受けがいいという証拠なんでしょうね。
 

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