<最初に>
16にたくさんのサントラを挙げすぎた気がするので、ページを新たにしてみました。2011年以降のものを取りあげていく形になります。
1つのページに2年半近くのものを挙げたのは時間的にも長すぎたかなぁ…と思いましたが、実際取りあげるサントラの数自体が減ってきてしまっていたので、それも仕方ないと思っています。
それと、サントラCD単独で発売されず、DVDなどの特典でつく例が増えてきていることも、影響しています。実際聞いていて、いいなぁ…と思っても、サントラCDが入手できずに紹介できないというのもいくつかあります。162回として取りあげるのも、そういったものの例外的に単独サントラCDとして登場したから、ようやく取りあげられたというものだったりします。
今後、こういった例が増えないことを祈りたいのですが、アニメビジネスを考えるとそれも仕方なし、とも思うのだったりします。
これまで取り上げたサントラのTV番組での利用頻度は、下記URLを参照のこと。
http://sh-kato.cyber-hp.jp/cdf-00.htm
(初出 2011/03/02)
紹介するサントラは、
「WORKING!!」オリジナルサウンドトラック (ANIPLEX SVWC-7737〜7738)
MONACAは、アニメサントラなどを作る作曲家グループですが、なかなか単独でサントラ発売されて来なかったような気がします。今回は岡部啓一さんを中心に石濱翔さん、帆足圭吾さんが作曲した楽曲で、オールドロックテイストをトータルコンセプトにしつつ、WORKING!!らしいキャラクターたちをイメージできるものに仕上げたとのこと。(神前さんはOP,ED曲のみ参加)ただ、サントラブックレットにも、楽曲ごとにどなたかが主になって作曲・編曲したかは分からずMONACAの3名が書かれているだけなので、どの方の曲調かといったものは分かりにくい感じになっています。
メロディーラインも結構おぼえやすく、すっきりとしたバンドサウンドといった感じで作られているのかなぁ…という感じでしょうか。インスト曲だった「大切な一日」は、アレンジされた歌詞付きの楽曲(ゴールデン・デイ)になっているように、意外と口ずさめるサントラという感じがするかもしれません。DVD完全生産限定版収録の19曲をそこそこ上回る曲数ですから、ほぼ作品に使われた楽曲を取りあげられたんじゃないかなぁ。店内BGMやジングルもこんなに作っていたのか…と、感心することしきりです。
とにかくMONACAは、アニメ作品に合わせたコンセプトのしっかりしたサントラを作っているなぁ…と思いますし、それゆえ結構日常的な場面にも違和感なく流れることが出来るものだと思っています。だからこそ、DVDなどの特典ではなく単独のサントラCDとして出て欲しいと思う作品があるんですが、なかなかそうはいかないものばかりですねぇ。(直近では放浪息子も該当するか)ゆえに、今回のようにあらためてサントラCDが発売されたことは、個人的には素直に喜びたいなぁ、と思います。
第163回 MONACA,神前暁さん
(初出 2011/08/03)
紹介するサントラは、
Aチャンネル おりじなるさうんどとらっく(Aniplex SVWC 7770)
「Aチャンネル」という作品自体、女子高生の何気ない日常の中にあるキラキラした瞬間をまとめたようなものなので、それに沿うことが自然とMONACAのメンバーのサントラ制作の方向性になっていたとのこと。それゆえ、過度でコミカルでなく、センチメンタルでもなく、主張しすぎない楽曲を作るのに苦労したとのこと。
アコースティック楽器を中心に出来るだけ音数を減らしてシンプルにまとめるという、これまでのMONACAのサントラとは逆の感じなんでしょうかねぇ。ただ、キャラテーマの曲のようなものがないだけに、いろんな旋律が使われていて、同じ感じの曲がほとんどないような…さすが楽曲名の最初を"a"にしてもイメージが重複しないように作られています。4人(神前さん、石濱さん、高田さん、帆足さん)で楽曲を作っていますが、これだけ楽曲に引き出しがあるというのもすごいなぁ…と、素直に思ったりします。
個人的には、日常の風景にしっくりと合わせられる楽曲たちが登場したわけで、他の映像場面でも使われるのに期待しちゃったりします。(曲のタイトルは思い出せなくても、こんな場面で使ったAチャンネルの曲、とはいいそうな…)
それとは対称的に、OPは「始まり」「駆け出していく疾走感」「新鮮さ」をイメージしているし、EDは個人的な趣味の世界(The Beaties + QUEEN)とは、神前さんのコメント。こちらも聴き応えがあるものに仕上がっています。
紹介するサントラは、
IS<インフィニット・ストラトス>オリジナルサウンドトラック(Lantis LACA-5107)
インフィニット・ストラトスは、ある種の戦闘シーンと学園ラブコメが合わさったような作品ですから、その辺のバランスをうまくとって音楽を作ると、だいたい半々になるのかなぁ…と思ったら、意外と戦闘シーンなどに使われそうな楽曲の方が多かった感じがしますねぇ。個人的には、学園ラブコメっぽい曲の方が七瀬光さんが得意なような気がするんですが、意外や意外戦闘シーンなどの楽曲の方が際立った感じのサントラっていう感じですかねぇ。
1クールのアニメなのに2枚組のサントラというところが曲のバリエーションの多さを示しているといっていいんじゃないかと。七瀬光さんは、そんなに際立った特徴はないもののスタンダードなサウンドトラックを作る感じで、曲調にメリハリも効いているくらいリズミカルな音楽を作っているなぁ…と思ったのであります。キャラクターごとのテーマ曲もしっかり作っていて、なるほど…と思わせる曲だったりします。ただ、落ち着いた感じの曲調の曲は、なんかちょっと物足りない感じがするかもしれません。
ついでに、TVサイズのオープニングだけではなくエンディングのSUPER∞STREAMの放送した5バージョンをきちんと収録しているところは、2枚組のサントラならでは、というところでしょうか。
取りあげるサントラは、
うさぎドロップ オリジナル・サウンドトラック (EPIC RECORDS ESCL 3747)
「うさぎドロップ」という作品自体あまり派手な動きのあるような作品ではないので、一般的なサントラにありがちなキャッチィな楽曲というのはそぐわないようであります。そういったサントラは、注目されることもなく静かに発売されることになってしまいます。そのおかげで、むしろ落ち着いた感じの楽曲が並ぶことになるのですが、それでも場面ごとに異なる旋律を作り上げていくのは難しいものになるはずであります。
でも、松谷卓さんは映画などでよく作られるやんわりと落ち着いた室内楽として、くっきりと「うさぎドロップ」の作品世界を表現しているといってよさそうであります。ブックレットに音楽イメージノートとして楽曲ごとの場面(モチーフ)の説明があるので、それを参照しながら聴くのも一興かと思います。
「のだめカンタービレ」のようなキャッチィな感じの楽曲も、映画の劇判などのようなシーンにぴったりと合った楽曲もないが、アニメならではのアバウトな場面をきっちり想像させるような、静かな楽曲たちがいい感じで並んでいるという風に思っていただければよいかと思います。
紹介するサントラは、
俺の妹がこんなに可愛いわけがない オリジナルサウンドトラック (Aniplex
SVWC 7736)
このサントラが、神前暁さん単独での初の発売となるサントラだったりするわけですが、それまで作っていたサントラとはちょっとベクトルが違って作っているように、まず思いました。
ブックレットで神前氏が述べているように、「スカ」とは1950年代にジャマイカで生まれた音楽ジャンルで、裏拍子を強調した「ンチャ・ンチャ」というリズムが特徴的とのこと。これと神前氏が個人的に好きな管楽器をとことん使ってみたというのが、「俺妹」のサントラとのこと。これまでは、どちらかというと作品にあわせて音楽ジャンルをチョイスしてつくっていた感じでしたから、それとはちょっと異なるものになったんじゃないかと。
オタクカルチャーを扱ったアニメにもかかわらず、音楽はそこそこ厚みを持たせた実写ものとは異なる主張の強い曲をぶつけてきたとのこと。いわれてみると、リズミカルでそれでいてメロディーが映える感じの、粒ぞろいの楽曲がそろったということでしょうか。まあ、劇判ですからゆったりとのほほんとした楽曲もしっかりとあり、スタンダードなアニメサントラとしてのポイントもしっかりとおさえているところでしょうか。
それでも、しっかりと「俺妹」のサントラとして仕上がっているといっていいでしょう。
ベクトルといえば、ある意味ROUND TABLEの手がけた「それでも町は廻っている」(flyingDOG VTCL-60233)のサントラとベクトル的に似ている部分もあるので、聴き比べてみるのも興味深いのではないかと思います。
紹介するサントラは、
湯乃鷺メモリィズ(TVアニメ「花咲くいろは」オリジナルサウンドトラック) (Lantis
LACA9217〜8)
浜口史郎さんは、比較的シンプルな楽曲をたくさんつくっていくことで、劇判としての曲全体を引き立てるというのが得意という印象があります。TV版とかの「ああっ女神さま」では、いかんなく発揮されていたのですが、どうしても軸になるメインテーマのような曲が希薄だったこともあり、なかなか取りあげにくかったという印象があります。それゆえキャッチィな目立つ楽曲はそんなにないので、そんな意味では損をしているようにも思えます。リアルに描かれている「花咲くいろは」では、ギターとピアノ中心の小編成は登場人物のストレートで繊細な感情と呼応して、より深い共感を得ることが出来たと、浜口さんも述べております。
実は2枚組で60曲以上の曲が収録されております。意外と日常的な場面を表現することも多いことから、汎用性の高いものに仕上がっているではないかと、個人的に思っていたりします。ただし、印象が希薄な旋律が多い楽曲は、それなりに作品に思い入れのある人でないと気づきにくいということになってしまっているようにも思います。
紹介するサントラは、
TVアニメ「神様のメモ帳」 ORIGINAL SOUNDTRACK (Glory Heaven LASA-5104)
岩崎琢さんは、ある程度音楽のジャンルを絞ってアニメサントラを作っていくことが多いです。今回は、1980年代から1990年代に流れたであろう都会的な雰囲気をしっかりと取り入れた感じの楽曲で占められているように感じました。
意外と楽曲自体に派手さはなく、劇判に徹しているのが、キャッチィでないという点からポイントを落としているが作りは秀逸である。いわゆるラップやシティポップスをインストにするとこんな感じかなぁ…と思わせるような、そんな仕上がりは、逆に「神様のメモ帳」という作品のサントラとしては最適だったように思えました。
岩崎さんのサントラは、依頼を受けたアニメ作品のテイストにピタッと来るある種の職人芸のような作品が多いためか、作品自体がヒットしないとサントラも浮かばれないことが多い気がします。でも、サントラ自体を好む方々にとっては、うまいとうならせる楽曲を並べていて、サントラ楽曲自体の評価は聞いてみると評価が高いんですけどねぇ。次回作(ベン・トー)もそんな気が。
紹介するサントラは、
放浪息子 オリジナルサウンドトラック (Aniplex SVWC 7787)
日常を描いた場面の楽曲というのは、耳にやさしく心地よく聞こえるためか、楽曲としてキャッチィなものにはなかなかならず、サントラを購入するまでの評価に至るのが厳しいかもしれません。でも、「放浪息子」という作品に寄り添ったこのサントラは、CDアルバムとしてしっかり聴けるものになっているんじゃないかと、個人的には思っています。
今回MONACAは岡部啓一さん、神前暁さん、帆足圭吾さんが作編曲しています。一つ一つの楽曲は派手さがなくても、イメージされる場面通りの楽曲にはしっかりと仕上がっているんじゃないかと思うのです。そういう意味では、直球勝負でMONACAらしいサントラといっていいでしょう。(WORKING!!に比べると、音楽的なコンセプトが希薄ですし)DVD,BD初回特典収録分を差し引いても35曲は、サントラとしてはそこそこ十分な楽曲数ではないかと思います。
取りあげるサントラは、
「ちはやふる」オリジナル・サウンドトラック&キャラクターソング集第1首
(VAP VPCG-84916)
直近は、耳に残るメロディがアニメサントラから聞きづらくなっているなぁ…と思っているんです。ベーシックでも、メインテーマになる楽曲で骨格を作り、それをアレンジしたりしてうまくサントラ楽曲群となるものを構築していく…そんなものではなく、とってつけたような似たような楽曲がいろんなアニメで聞こえてきます。それではBD・DVDに限定版と銘打ってつけられても仕方ないかなぁ…と、ふと思ったりします。そうではなく、きちんとメインテーマを響かせているサントラを紹介します。
山下康介さんは、デジモンなどのサントラを作られていますが、今回の「ちはやふる」は以前の作品ではたぶん「しおんの王」あたりが近いのかなぁ、と思います。ある程度楽器の数を絞って、メインテーマを中心としたメロディーラインをくっきりとさせ、ある種のテンションを高めた感じの楽曲が多いという印象を受けます。vol.2もでますが、たぶん今回の第1首に収録されるのがメインで使われるものになるんじゃないかと思わせるくらい、テンションが高い気がします。
特に耳に残る楽曲は、track03高ぶるキモチ、track07「ちはやふる」メインテーマ、track08かるたの目、track21「ちはやふる」メインテーマ〜p.f.ver.〜などといったところでしょうか。
ストリングスと管弦が交互にメロディーを流麗に響かせていて、作品のもつ登場人物の心理状態をうまく引き立てているなぁ…これまで目立ちにくかった山下さんの楽曲が、この作品と出会って生き生きとしてきた感じがしてきます。
ついでに、キャラクターソングも入っていますが結構きかせてくれますし、まさかedの「そしていま」がフルバージョンで入っているのは、ある意味いい楽曲だけにずるいです。(その辺は、ラストエグザイル〜銀翼のファム〜
O.S.Tに近い)
紹介するサントラは、
LASTEXILE -FAM, The Silver Wing- O.S.T. (flyingDOG VTCL-60286)
サントラ自体のパッケージの表記は英字ですが、日本語のラストエグザイル-銀翼のファム- O.S.T.と表記しているサイトが一般的なような気がします。
石黒ひとみさんは、8年前の「LASTEXILE」ではDolce Triadeとして音楽に参加し、その後「コードギアス反逆のルルーシュ」で音楽を担当しつつ、自らオリジナルのアルバムをリリースするなど、結構活発に活躍しています。自ら歌う時は「Hitomi」としている「Angel Feather Voice 2」と同時リリースしたサントラが「LASTEXILE-銀翼のファム-O.S.T」となります。
楽曲数は25曲と少なめに感じるかもしれません。しかし、楽曲自体が結構サントラとして長めに作られていて、その作品の中でいろんな場面が複雑に織り込めるように作られています。前作LASTEXILEではアイルランド風の風の音を中心に構成したが、LASTEXILE-銀翼のファム-では雰囲気の異なる国がでてくるのでいろいろなタイプの曲(オーケストレーション、打ち込み、民族音楽など)が統一することを考えずにジャンルを横断した曲を作ってきたとのこと。それでも、LASTEXILEとしての世界観を新たに作りだしてきたということになるのでしょう。(…で、2枚目もでるんじゃ無いかと思ったら、やっぱり3月に発売するとのTV-CMが流れていましたね)
ed曲もフルで収録されています。その「Over The Sky」は、雄大な空を感じさせ、LASTEXILEの世界観そのものを表現しているというとのこと。それを感じるだけでも1度聞いてみる価値のあるサントラです。
第172回 渡辺剛さん
(初出 2012/12/11)
紹介するサントラは、
咲-Saki-阿知賀編 episode of side-A オリジナルサウンドトラック (GloryHeven LASA-5137)
咲-Saki-の第1期のサントラも、結構女子高生の日常をうまく表現した楽曲と、盛り上がってくる麻雀の試合の音楽の小気味よさがバランスよく作られて
いたと思っていましたが、この「咲-Saki-阿知賀編」のサントラは、よりそれを進めていった感じがしていい感じに仕上がっています。
作曲を担当した渡辺剛さんは、このサントラを作るのに第一に考えたこととして
阿知賀女子や千里山女子面々の日常と日常試合時の音楽の対比。ポイントは園城寺怜と宮永照。この二人の試合のシーンが相当激しく描かれるだろうと思い、第1期よりもかなり重厚で内面が感じ取れるような曲になるよう心がけた。
とのこと。実際、作品中でも試合の場面での楽曲が演出上重要な位置を占めており、それに見合った楽曲がつくられた感じがしますねぇ。とにかく聴き応えのあ
る楽曲に仕上がっていましたし、そういった部分を評価する人も、作品を見た人なら多いんじゃないかと思います。咲-Saki-のシリーズでは主役となる学
校の人たちではなく、登場する多くのキャラクターを含めて麻雀の試合の緊迫感を高めているので、いろんな場面全般でそういった雰囲気が感じられ、きっちり
と楽曲として仕上がっています。実は第1期の楽曲も試合の場面で使われて「共演」しているんですが、それでも違和感が出ないくらいしっくりとくるものに
なっています。
それに対比するように、日常の場面では、しっかりと普通の高校生の明るさを前面に感じられるようにしており、それは第1期と変わらない渡辺剛さんらしい良さが出ているように感じました。
渡辺剛さん自身が作品の魅力を音楽で表現した自信作として言ってのけるくらいですから、それに違わない楽曲がサントラCDとして収録されていると、いいきっていいものではないかと思います。
第173回 MONACA
(初出 2012/12/11)
取りあげるサントラは、キャラソン集のサントラつきという変わりもの。
邪神曲たち(サントラつき) (DIVEII AVCA-49837〜8) のDISC2
Disc1のキャラソン60分(といっても、1曲30分のがありますが…)にさらに約60分42曲のサントラがDisc2についています。MONACAら
しい普通の劇判がまず続きます。これだけでも、結構行けるサントラじゃないか、と思えるくらいのスペックかな、と過去の楽曲も知っているので思えました。
まああるとこまでは普通の劇判ですが、だんだん実は元の曲があるんじゃないか…という怪しげな曲も所々登場してきたりするんですねぇ。(期待するくらい
で、意外とそう多くないかも…)でも、基本的には這いよるニャル子さんによく使われていた楽曲が、きちんと収録されている感じでしょうか。収録時間も曲数
も普通のサントラCDと変わらないですから、これだけでも十分お得感があります。(確かこれで2625円だったはず。安いなぁ。)
第174回 大谷幸さん
(初出 2012/12/11)
取りあげるサントラは、
「人類は衰退しました」オリジナルサウンドトラック (Lantis LACA-15226)
大谷幸さんはいろんなジャンルの曲調の引き出しがある方で、表向き妖精さんの出てくるメルヘンチックな感じをうまく楽曲としてのフォローしているなぁ…と、感心させられましたねぇ。
このサントラでは。ピアノとシンセ、フルート・ギター・マンドリンやストリングスなど使っていますが、1つの曲で使っている楽器は結構絞っている感じがします。
なじみがある、でも新たなメルヘンチックな曲たちは「人類は衰退しました」の絵も含めたまず特徴である妖精さんたちがメインの落ち着いた感じで、台詞や物語全体にある一種のダークな部分を見事に包み込むことができているんじゃないかと。
でも、サントラですから場面に合わせたちょっと危機感に陥ったかもしれない曲もありますが、基本はメルヘンチックな曲調でうまくまとめ上げています。
第175回 山下康介さん
(初出 2012/12/11)
取りあげるサントラは、厳密にはサントラとキャラソン集が合わさったもの。
ちはやふる オリジナル・サウンドトラック&キャラクターソング集 第2首 (VAP VPCG-84917)
第1首と比較して第2首は、うって変わって厚みのある楽器をそこそこ使ってきているなぁ…と思ったら、ミュージシャンとして20人程度の名前がスタッフ欄に挙がっていましたねぇ。なるほど、と納得するわけでした。
後半になって実際に競技かるたを行う場面が多くなり、いろいろな場面やモノローグの部分が増えてきたこともあって、それに合わせるための楽曲が第2首には
結構並べてきたなぁ…という感じでしょうか。実際、そういった楽曲群はメロディーが生き生きしていたりします。(当然、落ち着いた感じの曲もありますが)
そういう意味で、とにかく聴き応えのあるサントラに仕上がったように感じられます。(メインテーマとなる楽曲が目立った第1首と対照的に)
キャラクターソングは、3曲収録ということで、これもサントラメインにしてこちらは抑え気味にしていたのはバランス的に今回もしていて、それはいいんじゃないかと思いました。
第176回 中島ノブユキさん
(初出 2012/12/12)
取りあげるサントラは、
たまゆら〜hitotose〜オリジナルサウンドトラック (Flying DOG VTCL-60279)
OVAですでにサントラが作られていると、TV版だからそんなに収録しない…ということは、このサントラではなかったですね。25曲サントラが収録されていまして、その中にはOVAですでに使われているものも入っていたりします。
「たまゆら」というアニメのサントラとしては、ぶれなく作られているし、中島ノブユキさんの曲調もしっくりと来るというのか…とにかくいい感じで1枚のサ
ントラとして仕上がっていますので、これだけでも楽しめますが、OVA版のサントラとあわせて、ちゃんとコンセプトのあった2枚の連続したサントラ集とい
う感じに仕上がってますので、是非どうぞ。
第177回 岩崎琢さん
(初出 2012/12/12)
紹介するサントラは、
「ベン・トー」サウンドトラック (ポニーキャニオン PCCG-01214)
「BLACK
CAT」「グレンラガン」などのサントラを聴いて、次に機会があったら岩崎琢さんに発注しようという板垣伸監督も、ある意味マニアックな方のような気がし
ますねぇ。その発注で、「遊んでくれていい」といったそうで、バリエーションというかジャンルをめっちゃひろげた岩崎さんとサントラができあがっちゃいま
した。
逆に言うと、突き抜けた何かが音楽でもないと「ベン・トー」というアニメの音楽って、結構平板なものにおさまっていたんじゃないかと思うんですよねぇ。そ
れと岩崎さんとしては珍しく、歌つきの楽曲も作っていたりするんですねぇ。ある意味やるとこまでサントラを突き詰めてやってきたから、今回はノンジャンル
で冒険をやっていくという覚悟が出来たんじゃないかと。それと、よくありがちなTVサイズのop,ed曲すらないです。
考えてみれば、ただ半額弁当を取り合うというだけの話なんですが、それが作中としての膨らみを帯びたのは、原作、アニメ演出、音楽などなど、いろんなことが功を奏したんじゃないかと、サントラを聴きながら思ったのであります。
これが、戦闘的な場面に特化すると「ヨルムンガンド」のようにいい感じの楽曲になって、こっちの方がたぶん評価が高くなると思います。岩崎琢さんとしては
得意な分野の楽曲だし、ある意味劇判としてはかっちりした無難な感じに仕上がっているので、汎用性にはその分ちょっと乏しいかなぁ…という気がします。
第178回 菅野よう子さん
(初出 2012/12/12)
取りあげるサントラは、
坂道のアポロン オリジナル・サウンドトラック (EPICレコード ESCL 3874)
音楽 菅野よう子と聞くと、ジャズが主の作品のサントラといっても変化球が来るように思っちゃうんじゃないかと思いますが、さすがに原作であるマンガやそれを元にしたアニメの作品の持つ雰囲気がスタンダードなジャズですから、きっちりそれに合わせてきています。
ただし、新録音でアレンジなどを加えていることからも、使われるであろう場面にあわせて、しっかりしたものや初々しいものなどいろいろ微妙なところで凝っ
て作られています。そういう意味では、きっちり菅野よう子さんのサントラとなっていることは事実です。ジャズはそれほど関わっていないという本人の言葉が
あるようですが、そんなこと感じさせませんね。
あと、4月末という発売からも、ひょっとすると作られただけで使われない楽曲もある可能性があり得るとのこと。そんなといろいろなことがありますが、まずは50分強の「坂道のアポロン」の世界観に音から浸ってみてはいかがでしょうか。
その逆に、その後作られたり実際使われたりした楽曲を新たに集めたサントラCDも発売されていますので、このサントラで気に入った人はそちらもどうぞ。
第179回 栗コーダーカルテット
(初出 2012/12/12)
取りあげるサントラは、
つり球 オリジナル・サウンドトラック (Aniplex SVWC 7856)
栗コーダーカルテット(栗原正己さん、川口義之さん、近藤研二さん、関島岳郎さん)の4人それぞれがこのサントラの楽曲の作曲を担当してまして、それぞれの方の曲調を楽しむのも結構楽しいかもしれません。
日常的な場面を表現する楽曲は、栗コーダーらしくカルテットでやっている毎度の楽器を使っていますが、普段使わないストリングスや管弦楽セクション、ピア
ノなどオーケストレーションしている楽曲もあり、そういった部分がサウンドトラックらしいといっていますが、でもそんなに栗コーダーらしさからは離れるこ
となく、ちょうどいいボリューム感のある編成でつくられている感じがします。(なにせ、日常的でない「釣りで地球を救う」なんてことを後半やりましたから
ねぇ)
でも、基本まったりとした作品ののどかな雰囲気ですから、そんな雰囲気の(かつてのサントラやアルバムなどでの)栗コーダーカルテットの楽曲を期待してい
る方にとって、その期待に沿った楽曲のサントラに仕上がっているといっていいと思います。ただ、「キョロちゃん」と同じように作品に寄り添っている感じで
すので、汎用性はちょっと薄いのかなぁ…と思ったりもしました。
こんなものも作っております
2012 TV アニメ サントラ選
2011 TV アニメ サントラ選
2010 TV アニメ サントラ選
2009 TV アニメ サントラ選
2008 TV アニメ サントラ選
2007 TV アニメ サントラ選
2006 TV アニメ サントラ選
2005 TV アニメ サントラ選
2004 TV アニメ サントラ選
2003 TV アニメ サントラ選
2002 TV アニメ サントラ選
2001 TV アニメ サントラ選
2000 TV アニメ サントラ選
1999 TV アニメ サントラ選